悪しき実の裂けるが如く。
- ★★★ Excellent!!!
あしきみのさけるがごとく。
白い花々が、葉陰に揺れる。
雨笠を深く被った男が一人、山路を征く。
樒の花が、撓わに咲いては密やかな笑みを
向ける。その男の耳元で、少女の聲が。
谷底へと誘う様に囁くが。
難を逃れた男の耳元に。
冷たい、嘲笑う様な。それでいて
恨む ような。
それは旅人を谷底へと誘う 怪 の聲。
親切を装い、破滅へと導く。あな恐ろしき
魔性であろうか。
余程に豪気の者が現れるのは
更に先のはなし。