第4話 夢からさめないサメ

駅の改札口前近く


「またね……」

「サメはここで手を振るね」

彼が手をパーにして振りながら言う。

「……サメに言い忘れてることない?言うなら今だけど?」


彼女は今日のことを思い出す。

「……好きだよ、付き合っちゃおうか?」

のぞき込むような彼の視線。

顔を赤くして頷いた。


手を振る彼の顔がなぜか切なげに見えて。

彼の方へ一歩近づく。

「……」

目と目を合わせる。

一瞬目を逸らして、再び合わせる。

「私も好きだよ……」

優しく揺れる彼の瞳。


駅のホームまで、近くて遠い、その場所で。

街灯の光、静かに揺れる。

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サメくんとペンギンちゃん りな @rinasan

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