下山明子の独舌

なぁ、あんた寒ない?そんな冷房ガンガン付いてる部屋でずぅっとゴロゴロしながら携帯見て。

なぁ。

うちな、今日は商店街の方行ってやっすい大根があったから買ったろうおもて、そこの八百屋の店主呼んだら終始オドオドしてて、呼び込みもへったでなぁ。大根役者かとおもたわ!

いや、なんやねん。ここ、笑うとこやで。ボケ殺しかいな。ほんま、頼むでぇ。

なんでや。なんで、そな反応ないねん。ほんま、しゃーないからな。飴ちゃんあげる。

うちも、こんなんしてる場合ちゃうねん。この後、いつもの佐藤さんとこで髪切ってもらう予定があるやわ。そう、床屋の佐藤さん。

うちの家から真っ直ぐ行ってトンネル通って、やけに音ちっさいやる気のない信号渡って、小学校の横の細道をちよっと行って、どんつき右にある床屋。

え?うちの家を知らん?あ、そらそうか。グハハハ!ほんまや。あんた、うちの家知らんかったわ!そうやそうや。

何?コテコテの関西弁が聞けて良かった?何ゆうとんねん。アホか、どつき回すぞ。あぁ、ごめんごめん。ごめんて。そんな、ビビらんと。関西弁が聞けたゆぅたから。ちょっと、それっぽいことゆうぅただけやんか。そんな、泣かんと。飴ちゃんあげる。え?泣いてない?まぁ、ええやんか。貰えるもんは貰っとき。な。

そや。ほんまにな。今思い出したんやけど。あんた、関西の人ちゃうやろ?な。関西人以外が関西弁喋るとなんか、妙に腹立つよなぁ。あれ、なんなん?あ、知らんか。フフフ。あとなぁ、東京の人とかは特にそうやねんけど、「わぁ、関西弁だぁ」とかさ、「頭の中で考えるときも関西弁なんですか?」とか、「文章書く時も関西弁で書くの?」とか言うてるけど…

んな、訳あるかぁ!!!

ごめんな、大声出してな。怖かったやろ。あぁそ、怖くなかった。なら、ええわ。あんた、そういうときはな、相手がごめん言うたら、「いいよぉぉ」って返すのが大阪人の筋ちゅうもんや。分かった?ん?りゆうは理由はきかんでえぇねん。


ところで、あんた誰やねんって?あぁ、そうかそうかまだ自己紹介してなかったなぁ。すまんすまん。

そう!私は!大阪生まれ大阪育ちの生粋の大阪人。阪神を愛し、阪神に愛された女!その名も、下山明子でござぁす!年齢、体重共にナ・イ・ショ♡。

初めての告白&デートは勿論、道頓堀。その後、月日は過ぎ、初のプロポーズは初ビールと共に。しかし幸せは悪戯をし、バツが増える一方。只今独身、バッテンは2!既に経験済みのヤリ○ン!

スーパービッチ明子、どうぞ以後お見知りくださいませ!!


どう?私の自己紹介?なに、引いてんねん。あぁ、めっちゃ、下ネタ言うたから?えぇねん。年齢は言わへんけど見た目から分かるこんなオバチャンはな、幾ら下ネタ言うても許されるように世の中は上手く出来てんねん。けどな、あんたみたいな若者は言うたらあかんで。普通に友達おらんくなるから。まぁ、その時はウチが唯一の友達かもな。なんちゃって。

あ?今、心の中であんたは友達ちゃうやろと思ったやろ?なぁ?思ってやろ!っまに、最近の若者は!!グハハハ!!


ほんなら、そろそろ時間やから佐藤さんとこ、行ってくるわ。ありがとうな、こんなオバチャンの長話に付き合ってくれて。あぁ、ちゃうで。この付き合うって言うのはデートとかじゃなく…

ん?そんなこと分かってる?喧しいわ!冗談や、ジョーダン。ほなな。また、どこかで。

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短編集-曙- 塩田 @saltfeam

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