不確か

 あぁ、あぁ…、うっ……。ここ、どこだ?白い、明るい、建物…?なに……。

「野分!」

「え、だれ…?」

 男の人の声だけど、だれ?

「わかる?おれ、かける。聞こえてる?」

 米里か……。あぁ、聞こえてるよ。だけど、聞こえてるけど、いま、どうなってんの?僕。わかんないよ。

「服、脱がすね、パーカー」

「シャツのボタン開けるね、ごめん」

 冷たい、棒状…体温計……?倒れたの?また……。

「よねざと、おれ……」

「ん?」

 ねむい。ふわふわする。疲れて、る気もする。


 アパートの部屋。なんで?おれたしか、学校で倒れたんだか、えっと……。なんだっけ、どうして…?わかんないことが多い。記憶になさすぎる。すまほ、いま、何時?さん、じ……。

[ちゃんと身体冷やすこと]

[栄養とること]

[寝る]

[できれば半袖]

 米里……。ロック画面に出る通知。

「まだ……」

 僕を捨てないでいてくれるんだな。しんじて、みてもいいのかもしれない。米里と、釜石のことは。あと、もう少し、他人を…いやでも、うん。信じるリスクを負うくらいなら、すべて嘘、自力解決できるようにしておいて困ることはない。それでも、2人のことは信じてみよう。預けてみよう、この身体を。この心を、開いてみよう。それでもし、なにから傷つくことがあっても、それは自己責任だ。2人なら、どんな傷を負ってもきっと立ち直れる。

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206号室 凍夜 @526jdtksmwq

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