主人公、エリノアは、日本人だった前世の記憶を持っています。
それゆえ、結婚はしないで研究して自立して生きていきたい、と願うが、女性は結婚して子供をつくるのが普通で、それが女性の生きる道で、女性の幸せ、という世界では、イレギュラーな存在です。
でもいいんだもん!
研究に生きるの!
そんなエリノア、この国の氾濫しがちな川の研究に没頭していきます。
研究室の上司、もっさり黒髪の、風変わりな教授、マティアスとともに、二人は過去の文献をひもとき、だんだん、この国の真実に近づいていく………。
「恋愛はお断りします」のテーマで書かれた作品で、そのテーマをあますところなく描ききっています。
幼馴染との結婚を断って、楽しく研究に没頭して、生き生きするエリノア。
そんなエリノアを見守るマティアスと、だんだん距離は近づいていって………?
という、淡いときめきも、ちゃんと用意されています。
面白いですよ!
ぜひ、ご一読を!
ナツガタリの数あるテーマの中で、
一番気になったのは「恋愛はご遠慮します」でした。
私はこのテーマで書きませんでしたが、
西しまこ様が思いっきり、そしてのびのびと書いてくださって、とても嬉しく思いました。
この物語に背中を押される女の子は、多いんじゃないかな? と思います。
進学、就職、結婚、出産…その他もろもろ
今を生きる女の子は、色んな選択肢がありながら、未だ様々な価値観に追いやられているような気がするのです。
その中で、自分はこうしたい、という揺るぎない信念を持つのはなかなかに難しいです。
自分の人生を自分らしく歩みながら、そして応援してくれる人が側にいてくれたら…
そんな希望が、この物語にあります。
是非、お守りに読んでみてください。
学ぶことができなかった前世を後悔した主人公・エリノアが今世こそはと歴史と人の営みを紐解いていく恋愛ファンタジーです。
恋を嫌っているわけではないけれど、もっとしたいことがある。強い信念を持ったエリノアが王国の歴史を研究が中心となって物語が進んでいきます。
研究と書くと堅苦しいイメージになってしまいますが、エリノアが熱心に研究していく過程が丁寧にわかりやすく描かれており、学問を探究する姿もとても面白く読むことができました。
学問を愛するエリノアがとても魅力的で、そんな彼女の研究する姿を見たヒーローが恋するのにも納得感があります。
恋だけでなく、学問だけでなく、どちらも魅力的に書かれた素晴らしい恋愛ファンタジーでした。
僕らは何故小説を読むのでしょうか?
ここにいる多くの人達が多くの理由を持ちながら、日々愛する物語を読んでいると思います。僕はそれはどういう形であれ、きっと「世界が広がるから」だと思います。
異世界ファンタジーでも、現代ファンタジーでも、ラブコメでも、純愛でも、詩でも、短歌や俳句でも、そこにある「言葉」は僕らの日常を「特別な世界」へとつなげてくれる素敵なものだと思います。
さて、本作です。
歴史を紐解く、研究者となったヒロイン・エリノア・フォーセットが、双子月と呼ばれる月と、とある事象の因果関係を探る物語です。
それは単純な物語でなく、また人物設定においても彼女の心を考えさせられる内容となっております。
僕は拝読させて頂き、物語の構成の図式、つまり研究者が記録や日記などの「書物」から少しづつ事実を手繰り寄せる様を読みながら、「これは僕らと同じだ」と思いました。
言葉は世界を広げます。
エリノアが見つけた様々な過去、その時代の人達が別の小説の様に、言葉の中に生き生きとしています。そこに謎を追うミステリー風の面白さが加わり、彼女と共に歩むマティアス教授という魅力的なキャラもあり、少しづつ「謎」の物語が動いてゆくのです。
お勧め致します。
ご安心を、歴史といって難しくないです。筆者の西様が書かれる文体はとても優しくてキラキラしていて、どこまでも読み易く、その上でしっかりと抜かりはないと言う親切設計です(笑)。最後の一文字まで楽しく物語に浸って下さいませ。
皆様、ぜひ宜しくお願い致します( ;∀;)