煌めく言葉を求めて

色街アゲハ

煌めく言葉を求めて

☆ 夢の中で訪れた卓上の都会、その中で一つだけ明々と光の洩れる硝子窓の内側で交わされる秘密の会話。


☆ 水晶の箱の中に閉じ込められた夜の冷たく硬質な空気、舗道に延々と立ち並ぶ街灯の光のあわいに見え隠れする青白い裸体。


☆ 雨に濡れて鈍く光る路面、僕の歩くのに合わせてその上を泳いでいく何時かの少年の姿。


☆ 真昼の喧騒が途切れた刹那、銀の手摺りや滑らかなタイルの上を駆け抜けて行った金色の猫。


☆ 永遠を模した蒼穹、そこに唯一つ浮かぶたった今カットされたばかりの正二十面体の雲。


☆ 夕暮れ空の薄暗い赤の下を潜り抜けて帰り着いた夜の沁み込んだ部屋、一度び灯のスイッチを捻ってご覧、そこについさっき別れを告げたばかりの夕暮れの街々の情景のあれやこれやが浮かび上がるから。


☆ 霧に呑まれた町、時折鉄柵や門或いは葡萄棚が現われては消え、黒い銅版画の唐草模様を描く、遠くで薄い硝子のボールが……その中には青々とした草原で一杯の牧場の世界が閉じ込められて……、カロカロと転がって行く音と、それを追い掛ける少年の気配。


☆ 古いレストラン、煤けたシャンデリアから生まれる七色の光の帯、食器の触れ合う音と人々の騒めきとが混ざり合い大きな一つの流れとなる、ボクはテーブルに置かれたカットグラスの角から延びる直線に沿って、その流れに乗って船出する。

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煌めく言葉を求めて 色街アゲハ @iromatiageha

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