概要
彼女は目を虚ろに、開口一番 ――多分あの時だ。すべてが始まったのは――
四月初週の週末。高校生となった南波伊織(ミナミイオリ)は、書店で買い物をした帰り道、ふと公園へ立ち寄った。
幼少期、夢中になって駆け上がった階段。桜の見納めでもしようと思っただけなのに、今となっては少し後悔しながら、その先の高台まで上りきる。
物好きしか立ち寄らない高台の先で、年端もいかないような華奢な後ろ姿がひとつ。
彼女はただ一人、この町の景色を独り占めしていた――
振り向いた顔はこちらを見るなり、驚きと安堵を浮かべる。
容姿端麗な黒髪の美少女――月待和栞(ツキマチノドカ)。
この春から同じクラスになった彼女とは、友人との話題に上ることこそあれ、直接言葉を交わしたことはなかった。
笑顔が絶えない美少女は表情も豊かで見ていて飽きない。細やかな心配りまで完璧だ。
「仲良くなりそびれて
幼少期、夢中になって駆け上がった階段。桜の見納めでもしようと思っただけなのに、今となっては少し後悔しながら、その先の高台まで上りきる。
物好きしか立ち寄らない高台の先で、年端もいかないような華奢な後ろ姿がひとつ。
彼女はただ一人、この町の景色を独り占めしていた――
振り向いた顔はこちらを見るなり、驚きと安堵を浮かべる。
容姿端麗な黒髪の美少女――月待和栞(ツキマチノドカ)。
この春から同じクラスになった彼女とは、友人との話題に上ることこそあれ、直接言葉を交わしたことはなかった。
笑顔が絶えない美少女は表情も豊かで見ていて飽きない。細やかな心配りまで完璧だ。
「仲良くなりそびれて
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