最終話 不条理刑事の行方②
3
中村は
このイレギュラーを正常に戻すため、現実世界にいる小池(あるいは森脇?)の潜在意識が覚醒を
小池は
中村は覚悟を決めた。誘いをかけるため、森脇がニセモノと称した小池恵子の姿に変え、彼女の前に立ちはだかったのである。
*
森脇は自宅のダイニングテーブルを
この女はどういう
「聞きたい事が山ほどあるけど、とにかくお前を全く信用できない。まず、なぜその姿をしているんだ?」
森脇は椅子に
「おっしゃる意味がわかりません。私は生まれつきこの姿です」
黒髪の女は
「よほど死にたいようだな。
森脇は立ち上がって女の髪の毛を
「お前の中身は誰だ? 何の目的で現れた?」
森脇は立て続けに問い
この夢の中の世界で、森脇が心の弱みを見せたのは初めての事だった。森脇は同じ夢を何度も見るうちに、この世界の重大な法則に気づいていた。
この世界には不条理を行使できる者と、そうでない者がいるという事。そして、意志の強さが、この世界の
夢が唐突に場面転換するように、目の前が暗転し、部屋の内装が変わった。周りは鋼鉄製の冷たい壁に囲まれた息苦しい密室だった。
髪の毛を
「ここは【
男は、してやったりといった表情でニヤリと笑った。
4
モスクワ郊外のけばけばしい家の中。椅子に
森脇の
中村はこれまでの状況から、
中村は、森脇と対峙しているという状況をそのままにして、場面設定を丸ごと切り替えるという暴挙を
【特殊独房】に
対する森脇は、突然の場面転換に戸惑っている様子だった。
「ここは【
中村は、してやったりといった表情でニヤリと笑った。
「殺してやる!」
巨体が
「
中村が
*
「変な夢……」
夢の主役であるはずの星子(夢の中の名前は小池恵子)は、整形前の自分(そういう設定?)に殺害され、幽霊となって不条理刑事に覚醒の願いを
途中から視界は
眼鏡をはずし、顔を洗う。フェイスタオルで顔と手を拭き、おもむろに鏡を見た。自分で言うのも何だが、好感の持てる顔だ。
ふと気になって、首筋に目を向けた。
「えっ?!」
星子は我が目を
星子の背中に
5
白い
外はまだ
「さて、そろそろ行くか」
中村はシフトをドライブに入れ、アクセルを踏んだ。二本の
全てを白くかき消すような吹雪が、一面に舞っていた。
不条理刑事 シッポキャット @sippocat
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