第九話 不条理刑事の行方①
1
中村は
舞台はモスクワ州ルサリ六丁目Dブロック227。
逆再生のように森脇星子がベットに
中村は素早く森脇のもとを離れ、屋外へ出る。
何らかの対処をして、これから彼女が起こす
不意打ちを食らわせて、流れを
中村は鼻を濡らし、長い舌を
*
森脇星子が目を覚ますと、小ぢんまりとした部屋の壁際のベッドにいた。周囲に目を移すと、右手には木製の小さな机があり、壁には日本地図が貼ってあった。地図の下には小さな数字で一年分のカレンダーが記載されている。
「またこの夢か……」
森脇は過去に何度も目にした、お
夢の続きは大体決まっている。小さい頃、理不尽にイジメた
今回は誰から、どんな倍返しをしようか。思考をまとめ、防寒着を
森脇は、最初のターゲットを小学校の担任教師に
ドラム型の
防寒着の両ポケットに予備の
自宅から南東にカーブを描きながら、すれ違う車も無い閑散とした道路を進んだ。
六分もすると、森が開け立派な小学校が姿を現す。記憶が
2
中村は、地元の小学校に先回りしていた。まもなくマシンガンを手にした森脇が、銀のプリウスに乗って
*
校門をくぐり抜け、フロントガラスに積もった
エンジンを切り、機関銃の安全装置を
視界を
「こんにちは」
向かい合った黒髪の女は
「…………」
森脇は無言で立ちすくんだ。今まで見てきた夢とは明らかに流れが違う。これはどういう事? 目の前の状況が予想外で、思考が混乱していた。
森脇は何度も同じ夢を見るうち、この夢の中でなら、自分の思い通りに事が運ぶようになっていた。それなのに……。
「お前は一体誰? どうしてその姿をしているんだ?」
森脇は動揺を
目の前にいる女は、森脇が現実の世界で何年もかけて出費と苦痛をともない仕上げてきた、整形した自分自身の姿だった。
あらゆる事が思い通りになる夢の中で、
「とにかく、その
女は、何もかも知っているといった表情で言った。手袋をした両手を
「何者か知らないけど、ひとまず
森脇は女を運転席に押し込み、銃を
「森脇星子さんの御自宅でよろしいですか?」
女はルームミラーに
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