エピローグ すする者よ、道をゆけ

──ふむ、よくぞここまで読んだのう。




いやいや、誰に話しかけておるわけではない。


ただの独り言じゃ。ワシのような“上から見てる者”には、そういう癖があるのじゃよ。




……さて。




ラーメンマニア・マコトが異世界に降り立ってから、どれほどの時間が経ったであろうか。


彼はただ、美味い一杯を誰かに食べてほしい。それだけの想いで寸胴をかき回し、出汁を煮出し、心を込めて麺を茹でた。




その味に、村の者たちは涙を流し、服を弾け飛ばし、宗派を生み出す始末。


なんと面白い。なんと尊い。




一杯のラーメンが人を笑わせ、泣かせ、時に人生の背中を押すことすらある。


それがこの世界では、まさしく“奇跡”と呼ばれても不思議ではなかろう。




そして、少女たちとの出会い――


リーネという名の素直な手、リリアという名の気高き舌、ユエという名の獣耳の心。




彼らは、マコトの旅に欠かせぬ“具材”となっていくのじゃろう。




だが、旅は始まったばかりじゃ。




彼らが向かう先、王都フェルグランでは――




「味など腹を満たす手段」と吐き捨てる者もおる。


「美食は弱者を産む」と冷笑する貴族派の連中もおる。




そしてなにより――


“この世界にラーメンなど必要ない”と唱える者たちすら現れるじゃろう。




それでも、マコトは寸胴を抱え、笑うに違いない。




「食えばわかるよ。ラーメンってのは、腹だけじゃなく、心まで満たすんだ」




……ほっほっほ。


さて、次のページでは、もっと騒がしくなるぞい?




泣いて、笑って、そしてすする。




それが“ラーメン道”じゃ。

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ラーメンマニア異世界に立つ!~全系統、制覇するまで帰れません~ のびろう。 @nobiro2525

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