忘れていく祖母がくれたのは、忘れられない愛の記憶だった

ある日、美咲の元に届いた一通の手紙。差出人は、少しずつ記憶を失くしていく祖母。そこには、あり得ないはずの過去の日付と、亡くなった祖父との楽しげな日常が綴られていた……

主人公・美咲は、最初はその手紙に戸惑い、胸を痛めます。しかし、震える文字で綴られた言葉の断片をたどるうち、それが祖母の花子が失いかけた記憶の海から懸命に拾い上げた、色褪せない「愛の証」であることに気づきます。

「愛は記憶よりも深いところにある」

認知症という切ない現実を背景に、手紙のやり取りを通して紡がれる祖母と孫の心の対話。忘れられていく悲しみと、それでも確かにそこに在り続ける温かな愛情が、読者の心を静かに、そして強く揺さぶる物語です。