生まれてきてよかった……その一言の重みを思い出させる物語
- ★★★ Excellent!!!
『虚空に刷る』は、一言でいえば、静かな爆発みたいな物語です。
設定としては確かにSFなのですが、メインに流れているのはめちゃめちゃ人間くさい「家族」と「選択」と「絆」。
ドが付くほどシリアスな題材なのに、読後には不思議と前向きになれるのがこの作品の凄さです!
まず主人公・喜歩さんの成長ドラマが圧巻。怒りも迷いも優しさも全部ひっくるめて、自分の答えに向き合う姿が真っ直ぐに刺さります。
そして、祖母の輪奈さんが抱える想いは……もう、読んで確かめてほしいとしか言えなくて😢
科学と倫理の狭間にいるはずなのに、いちばん人間らしいのは彼女じゃないかと思う瞬間があります。
脇を固めるキャラたちも魅力的で、五味先生や伝田さんが醸す人間の温かさに救われる場面が何度もあります。
重いテーマなのに、ところどころ挟まるユーモアと日常描写が絶妙に効いていて、通しで読めばページをめくる手が止まらないと思います!
終盤の証言台のシーンは、ぜひ心の準備をして読んでほしいです。
泣きます。
普通に猛烈に泣きます。
そして「生まれてきて良かった」と思える言葉の強さに打たれるはずです!
SF好きにも、ヒューマンドラマ好きにも、自分の生まれた意味を一度でも考えたことがある全ての人にもオススメしたい名作です! ぜひご一読のほうをよろしくお願いいたします(๑•̀ㅂ•́)و✧