まだ序盤とは思えないほど、作品全体に流れる「空気の豊かさ」に魅了されました!
雪の温泉郷から始まる偶然の出会いと、新天地での再会。
その流れだけでも心がぐっと掴まれるのですが、何より素晴らしいのは、情景の描写と雰囲気づくりの巧さだと思うんです。
音、匂い、温度、距離感……その全てが丁寧に書き込まれていて、まるで自分も隣で同じ空気を吸っているかのように感じられるんです。
主人公の久我山信は、社会人としてのリアルな悩みや疲れを抱えつつ、新しい環境で少しずつ日常の色を取り戻していく。
その過程は静かで穏やかですが、ページをめくる手が止まらないほど味わい深くて。
登場人物達も魅力的で、特に、お向かいさんとの距離の縮まり方が絶妙です!
大げさなドラマではなく、日常の中の小さな奇跡が胸に温かい灯を灯してくれる……そんな作品です!
物語はまだ始まったばかりですが、すでに「これは絶対もっと面白くなる!」と確信できる芯の強さがあります!
派手さよりも静けさの中のときめきや温度差を楽しみたい人には、間違いなく刺さる一作です。
ゆるやかに、でも確実に魅了してくるこの雰囲気、ぜひ多くの方に味わってほしい作品です!!
心を癒すべく傷心旅行で運命の出会いをした主人公。
雪国の情景描写が見事に描かれ、最初の導入部分から続きが気になります。
そして、夢のような幻のような出会いの部分も、素敵に表現されていて素晴らしかったです。本当に癒されました。
そうして、新しく転勤してきた部署に赴任するわけですが、そこでの再会も思わず気持ちが高ぶり、続きが気になります。
私事ですが、私自身は転勤はありませんでしたが、一年のほとんどが出張という仕事をしていた時期があり、雪国の旅館での運命の出会いに思わず感情移入してしまい、今回、初めて、レビューを書いた次第であります。
出張先のホテル等でこういう展開があればなぁと、昔を思い出してしまいました。
勿論続きが気になるし、導入部分から、きっとハマると思います。
是非、皆さんも読んでいただきたいです。
主人公の久我山さんは、昨年上司に怒鳴られたり辛いことがたくさんあったりと壮絶な経験をさせられます。
更には聞いたことのない場所への異動…つまりは左遷とも呼ぶべき転勤を命じられ、付き合っていた彼女には遠距離の相談を持ちかける間もなくお別れを告げられてしまいました。
傷心を癒すべく雪国の温泉郷を1人満喫する道すがら、1人の綺麗な黒髪の女性とすれ違います。
綺麗な人だったと思いつつ夕食を食べようとすると…何と、先程の女性が隣の席に!?
美味しそうな晩ごはんやお酒を共にし、偶然それぞれ4月から大阪へと仕事に行く話をした、その夜。またしても何かに導かれるように再会!
儚げなその顔が記憶から離れないまま、4月となり新しい職場へ行くと……もう、運命としか言えない偶然であの女性遠野さんとまたまた出会うのです!
遠いようで近い2人。しんしんと降る雪のような、或いはそよ風に揺れる桜のような素敵なお話…是非是非、ご覧ください。