どの短歌もとても心にスッと沁み入ってくるような、どこか懐かしさを感じる短歌集です。
枯れてのち まっすぐに立つ向日葵は
果てなき夏の夢を見ている
この1首が一番好きです。
思わずうーんと唸りました。とても力強くてまた、励まされる感じがします。
現代語短歌が……と、ご謙遜されていますが、どの短歌もとてもその「瞬間」を切り取っているようで、心に夏の匂い、夏の懐かしさ、その遠い懐かしい日を思い出させてくれるような、そんな感覚に陥ります。
作者様の感性が私はとても好きです。
そしてその感性を分け与えて下さってありがとうございます。
一緒にその夏に立っているような、そんな気持ちにさせてくれる素敵な短歌です。
ぜひ、読んでください。おすすめします。
心象風景、または原初の情景、心にはそういう場所があります。
僕は心の中に、未だ色あせない「くっきりとした夏の景色」を幾つも抱えています。
その瞬間が特別に幸福だったとか、悲惨なほど悲しかったとか、そういう印象的な事態とは別に、「なにげないけど忘れられない」そんな風景があるんです。
私は恋愛を主に小説の題材にしますが、恋とか愛だけが人生を形作るわけでもなくて、人には日常に埋もれてゆくけど「忘れずに記憶された瞬間」があると思います。
こちらの短歌を読ませて頂き、そういう事を思い出していました。
想い出の風景をお詠みになられていて、恋も含まれているけれど、だけどここには「その瞬間の夏」が、時間を切り取って存在している様に思いました。
お勧め致します。
夏の短歌、その「素敵」を体験されて見て下さい。
皆様、宜しくお願い致します( ;∀;)