被害者たち

ヤマ

被害者たち

 ある日、広場の真ん中に、一人の男が立たされた。


「申し訳ありませんでした」


 彼は、深々と頭を下げる。


 罪状は、三年前の深夜、酒席での不適切な発言。

 録音されたその一言が、今になって拡散され、糾弾の声が吹き荒れていた。




 広場には、怒れる群衆が詰め掛けていた。


「我々は傷付いた!」

「精神的被害を受けた!」

「謝れ、謝れ、もっと謝れ!」




 しかし、実際にその場にいた当事者たちは既に和解し、円満に解決していた。

 寧ろ、当事者同士は今も親しく、今回の騒動に困惑していた。




 それでも、群衆は叫ぶ。


「私の尊厳が踏み躙られた!」

「あなたの発言で、眠れぬ夜を過ごした!」

「これは社会全体の問題なのだ!」




 男は再び、頭を下げた。


 群衆の誰一人、彼と面識はなかった。






 やがて、儀式が終わると、群衆の一人が携帯端末を掲げて言った。








「次は、誰に、傷付けられようか」

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被害者たち ヤマ @ymhr0926

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