今日、俺は

 ループさせない!毎度、毎度、1年以上待つのは普通に面倒なんだぞ!


「おいっ、隕石見えっか?俺の目には、顔の着いた岩が迫ってきているようにしか見えねえんだが…」


「確実に生きてるよねあれ…っで、どうやって止めるの?」


 すまん。なにも考えて無いっす…。ぶっちゃけ無駄死にする可能性が高いが、まあなんとかなるだろ。


「…アル。あれの心とか読めないか?読めたらなんて言ってるか教えてくれ」


「ごめんっ!私、走りながらだと能力使えないの…」


「じゃあ俺が背負う。絶対に落とさないから集中しろよ」


 少し止まって屈む。アルがしっかり俺の背中に乗ったことを確認してから走り出す。


「わかった。頑張るね」


「…ってかさあ!俺達がこんなことしなくても能力者が集まってる学校の奴らがぁ!なんとかしてくれるんじゃねえのかあ!」


 アル自体は羽のように軽いが、流石に人を1人背負いながら王城まで走るのは苦しく、口調が崩れる。


「……ねえ、あの隕石?岩?顔?どれでも良いけど、なんか喋ってる」


「具体的にはなんて言ってる?」


「距離が遠くて聞こえない。もうちょっと近付けば聞こえるかも」


 はい…誠心誠意、頑張らせていただきます…。


 数分後


「やっと…着いた!」


「お疲れ。結局道中でトール達を見なかったね」


「まあ、あいつらなら逃げずに隕石をなんとかしようと考えるだろうな」


 それにしても人が少ないな。しかし慌てていない。なんか不思議な空気だな。


「ここ…なんか変だね。必死さ感じないって言うか、自分が死ぬとは考えていないみたい」


「…取り敢えず校長に会いに行くぞ。トール達の行方を知ってるかもしれん」


「入学生の居場所を知ってるのならまだわかるけど、こんな状況だしトール達、入学手続きとかしてないんじゃないかなぁ…」


 まあまあその辺はね?ご都合がなんとかしてくれるでしょ。俺はそう考えながら近くの人に話しかけた。


「すいません。校長室の場所、知りませんか?」


「ん?校長室かい?…そうだねぇ、なんかアタシが驚くことを言ったら教えてあげても良いよ?」


「…面倒なんで違う人に聞きますね。お邪魔しました」


 そんな大喜利みたいなことをやってる暇は無いんだ。すると…。


「ケイ。あの人が校長室の場所を教えてくれたよ」


「おお!そうか!アル、早く行くぞ」


「まあ待ちたまえ。君達は今年の入学生だろう。つまり、まだこの学校の生徒ではないわけだ。今は一応緊急事態宣言が発令しているタイミングだからね。そんな時に校長室へ近付けば、直ぐに不審者として対応されるよ」


 そう言われればそうだな。ってか、校長先生が校長室で会議してるわけないもんな。オンライン会議かよ。せめて職員室に集まりやがれ。


「わかりました。では校長先生の居場所はどこなんですか?あ、ちなみに、今日、俺は1年若返るかもしれないです」


「………ふふふ。アッハハハ!良いね君。流石に驚いたよ。唐突に1年若返るかもしれない。なんて…もしかしてあの隕石が関係しているのかな?」


 …この人なんか胡散臭いし、言わなくても良いだろ。


「そこら辺はご自由に想像して下さい。っで校長先生の居場所はどこなんですか?」


「アタシにはね。人の位置がわかる能力があるんだ。今、校長先生は職員室で会議中かな?ここから………動き出したね。仕方ない。私が連れていこう」


「いや、ちょっと待って下さい。あなたには人の位置がわかるんですね?だったら、トールとサナと言う名前の男女ペアの場所とか、わかりませんか?」


 まさかいきなり、人の位置がわかる能力を持つ人と会うとは…流石能力者しか居ない学校だな。


「ん?トールとサナ…ね。ああ居たよ。今、他の生徒達と一緒に隕石を止めようとしているね」


「その場所は?」


「この城の屋上だよ。皆で力を合わせて、先生達の会議が終わるまでの時間を稼ごうとしているのかな?」


 大丈夫か?それ。変なことして隕石の落下速度を上げちゃったりしない?


「わかりました。屋上への行き方ならわかります。それでは、ありがとうございました」


「………」


 少し走りながら階段上る。アルが先ほどからなにも喋っていないことに気付いた。


「どうした?アル」


「さっきの人、結構苦しんでた。多分私と違って能力が常に発動していて、色んな人達の視界が常に頭の中に流されてるっぽかった」


「…そうか。俺だったら頭が痛くなりそうだな」

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この世界はループしている @number4110

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