この連作が”仮病”の証明。

 どの作品も読み手に痛みが伴うような作品だと感じました。
 初めの一首では”名前がいる”と痛みを仮名で”熱”にし、終わりの一首では痛みを”仮病”と名づける。そして工程に至る作品の一つひとつが仮病の証明を輪郭づけるように感じました。
 また作品はどれも強度が素晴らしく『プリントを〜』の尖った角の鋭さ、『いくつもの〜』の後めたさ、『本当の〜』に漏れ出す優しさと切なさ、そして終わりの一首では証明が完了する。
 仮病が持つ罪悪感と焦燥感が現れた素晴らしい連作だと感じました。おすすめです。

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