ここで働かせてください!!
他中田老
第1話
俺の村にはへんな決まりがあった。
日が沈んだら外出を控えること。
午前二時〜午前二時三十分
この三十分間は絶対に外を見たり出たりしてはいけない。
「この決まりを破るとバケモノに連れ去られてしまうからね。絶対に出てはいけないよ。バケモノに連れて行かれてしまったら食べられてしまうからね。」
村のみんなは口をそろえていった。
「ふーん、わかった」
俺はわかったとしか言えなかった。
何か違和感を覚えることもあったが、みんなが少し怖くて何も言えなかった。
[newpage]
高校二年生になった俺は相変わらず村で普通の日々を過ごしていた。
そんなある日、下校中にくっそかっこいい指輪が落ちていた。
「なにこれ、くっそかっこいいじゃん!
なんか、ゲームのアイテムみたい!すげー!」
誰が落としたのかな?と思い周りを渡しても誰もいなかった、好奇心だ。つけてみた!
「かっけー!キラキラしてるし、なんかすげー!」
満足した俺は外そうとしたが
はずれなかった。
何をやっても指輪ははずれなかった。
人のものなら普通に窃盗だ。
「もう、運命かな…」
そう思い持って帰った。
その日の夜、俺は眠れなかった。
十二時に布団に入ったはずが、
気づけば羊を数えるのはこれで7199匹目だ。
(眠れない…)
そんなとき、指輪が燃えるように輝き
気がつけば知らない空間にいた。
周りは何もなく、ただ真っ白な空間があった。
「俺死んじゃった感じ?」
何もない空間と知らない空間にかるくパニックになりかけていた。
「まぬけな愚者よ、我を解放せよ」
そこには、さっきいなかったはずのタヌキがいた。
「タヌキが喋った!!!」
驚き俺は咄嗟に距離を取る、え、動物喋った…。
動揺する俺をよそにタヌキはコチラに来る。
「タヌキではない。
我は十戒の六、モルト・リブだ」
そう言いながら距離を詰めてくるタヌキ。
「病気うつさないでください!俺、超健康体!!」
「タヌキじゃないわ!クソガキ!」
そう言われ、足を噛まれてしまった。
「いった!はいー、俺死んだ!病気になっちゃった!」
「親にもぶたれたことないのに」
可哀想な俺の足。タヌキとかに噛まれたら病気になって死んじゃうってじいちゃんが言ってたもん。俺死んだ!無理!
「何を言っておる
お前不死身じゃろ、契約したではないか」
すました雰囲気で発した言葉に俺は理解が追いつかなかった。
「わっつ??」
「オレニンゲンネ、フツウノニンゲンネ」
「お前まさか、契約の意味も分からずに指輪をしたのか」
「キャンセルは可能ですか?」
「無理に決まっておるバカタレ。」
モルトによると指輪をつけた時点で契約が成立。
契約は十戒の特権や力などを貸す、
そして契約者は死後、世界の養分として分解される。
「え、でもオレ不死身になったんでしょ?
意味なくない?」
「我の不死身は老いる。
そして、永遠に生き続ける。
死にたくても死ねないということじゃ。
病気にかかろうが、動けなかろうが意識はずっとある」
少し悲しそうな顔をしながらモルトは教えてくれた。
「今日うまく寝れなかった理由はモルトの特権だったんだね」
「ああ、そうだ。」
しんみりとした空気が充満している。
俺はこの空気がすごく苦手だ。
「てかさ、モルト解放ってなに?
一番最初になんか言ってたじゃん」
空気を変えようと質問してみる、
「我は前の契約者と少しいろいろあってな、
罰として力を一部取られてしまった。
だから取り返してほしいのだ。」
真剣な重い雰囲気が流れる。
「オッケー!なら俺が取り返してやる。
取り返したら契約解除してよ!」
俺は笑顔で返した。
ジメジメした空気いやだし、明るいほうがいい。
「感謝する、じゃが契約者解除にしては…
善処はするが確定はできない、それでもいいか?」
契約解除は無理かもしれない、だけど…
「困ってんでしょ?なら助けてるだろ!!
友達じゃん!!」
俺は手を差し出す。
「友か、いい響きじゃな…」
モルトは手を置いてくれた。
俺はそっと握り返す。
「お主名はなんと言うんじゃ?」
俺は漫画の主人公みたいに自信満々に答える
「俺は、[[rb:早風 透 > はやかぜ とおる]]高校二年生ピッチぴちの十六歳!!」
(決まったぜ!)
「ならば透、お主をこの村から出してやろう。
そして、神の使い十二支に会いに行くぞ。」
「おーお!…?」
「ちょっと待てモルト、この村から出してやろうって俺この村にいながらなんかやるとかじゃないの?」
引っ越しとかそんな感じのやつなの?俺村のみんなと離れたくないよ…!!
(じいちゃんとかいるし…)
「お主まさかきずいておらんかったのか?」
「なにが?」
モルトはびっくりしてこちらを見ている。
そして少し気まずそうな顔をしながら口を開く。
「透、いまから話すことは我が知っていることだ
それがどんなにつらいことでも受け入れる覚悟はあるか?」
モルトは真剣だった。
俺はもしかしたらいままでの違和感がここでわかってしまうかもと思っていた、怖かった。
「うん、話してよモルト。、」
モルトは口を開いた。
「あの村は神隠しの村じゃ。」
「神隠しって何?」
聞いたことのない言葉に俺は困惑しているとマモンが続けて教えてくれる。
【神隠し村】
低級妖怪や神などが人間を間引きして村を作り、子供を繁殖させる。そして一部人間の魂や肉体を食べ力を蓄える。生贄を育てるために作った村。
「え、でもじいちゃんとかおれのこと育ててくれたし
食べてないよ、しかもじいちゃんずっとこの村で育ってきたって言ってたし!!嘘だよ!!」
そんなわけない、そんなわけ…ない…。
モルトを掴み嘘だと訴える。
「うそではない、透。残念なことにな。
お前の爺さんは確かにずっとこの村で育ってきていた。
食用の人間もいるが、繁殖用の人間もいるんだ。
食用の人間は好みがあるが、女の子なら十歳もしくは二十 歳までが基本じゃ。男なら十八、一番肉が育っているからな。」
モルトは嘘を言っているようには見えなかった。
俺がずっと感じていた違和感はこれだったのかもしれない。
見ないふりしてたのかもしれない。
俺はずっと人を殺していたのかもしれない。
「なら、2時〜2時三十分までの外出禁止の理由は?
俺を、守ろうとしてくれたじいちゃんが教えてくれた…」
俺はこの時点でもうだめかと思った。
だが俺は真実を知らなければ行けない気がして、聞いてみる。
「お主、2時〜2時半までの外出禁止の理由知っておるか?」
「バケモノが出て連れ去ってしまうから、でしょ?」
モルトは、真実をまた伝えてくれた。
「半分正解じゃ。その時間は警察のような役割をしている十二支や他の神達も力が強くなる。基本的に神隠し村はどこでもご法度じゃ。見つかればここを作った奴らは殺されるどころでは済まない。だからバレないように力が強くなる。時間帯の外出を、禁止したんじゃなかろうか。」
俺は息をするのが少しきつかった。
「じいちゃんは知ってたのかな…」
「おそらく知っていたじゃろうな。じいちゃんだけではなく大人はおそらく全員ぐるの可能性がある。じいちゃんになるまでならもしかすると本人かどうかも怪しいがな。」
「そっかありがとう、教えてくれて。」
俺は精一杯の笑顔を見せる。
「泣きたいときはな大人しく泣くのが吉。
感情を閉じ込めることは自分を殺すことと同意義じゃ。
我と契約したのに自分を殺すとは情けないぞ。」
そう言い慰めてくれる
俺は泣いた。
いままで悲しいことがあんまりなかったからか、泣くのに慣れてなくて、よくわからなかった。
勝手に涙が出てきて心臓がうるさくて、熱くて気持ち悪くて、苦しくて、ぐちゃぐちゃで、目茶苦茶だ。
涙を拭きながらうまくいえないけどマモンに聞いてみる
「残された子達は、…救える?」
「おそらく別の神達に保護され、普通に送れるようにセッティングしてくれるじゃろう。」
「そっか、ありがとう。モルトには助けてもらってばっかだな…」
俺は何も知らずに生きてきた自分が恥ずかしかった。
「何を言っておる、いまから働くんじゃぞお主。
我の力を取り戻すのと、残された子を救うんじゃろ?
なら我は別に大したことはしていないのじゃ。」
モルトはツンデレかもしれない。
いつまでも泣いていられない俺は立ち上がる。
「オッケー!マモン、神を呼ぶにはどうしたらいい?」
「しょうがないの、貸し1じゃぞ。」
そう言い、モルトは鏡を取り出す。
そしてその鏡には黒髪ロングの男が写っていた。
「え!なにこれすご!妖怪の道具とか?!
モルト触らせて!!」
キラキラした眼差しで見たが…
「うるさい、いま通話中じゃ!!」
と言われてしまった…。
「十二支の5番で合っておるかの?」
《わたくし、今忙しいので切ってもよろしいですかな。》
こいつに頼るのはしゃくじゃが、我の今の力ではうっかり村全部滅ぼしかねんからな仕方あるまい…。
「相変わらず胡散臭い男じゃな、5番」
《そちらもジジくさいですね。》
「神隠し村があったからその報告じゃ」
《どの方角ですか、すぐ行きますね》
方角を伝えるとすぐ切れた
(相変わらず仕事だけは早い。)
「大丈夫じゃ、すぐ来る」
「ほんと!ならよかった!」
安心しきってしまって眠くなってしまう。
「透、起きるんじゃ。
今からお前も参加するんじゃから。」
「え?!おれも?!」
びっくりしすぎて目が覚めた
「一応我が主なのだから、参加してこい。
そして十二支から仕事を、もらい、我の力を手に入れるすべをちゃんと考えるんじゃ!!!
我は十二支たちに頭は下げんからな、透がやるんじゃよ。」
「えー!モルトも一緒にやろうよ!!」
「てか俺主なの?!主に頭下げさせんなよ!!」
「うるさいのじゃ、愚者主!!」
やっぱり俺にはこっちの空気のほうが似合う。
モルトの力を取り戻すために、一肌脱いじゃうぞ✩
「さっさと我の部屋から出ていけ、そして十二支に媚を売れ!!」
そう言い、指輪の部屋から叩き出された。
時刻は2時26分
(指輪の中に2時間ぐらいいたのに現実だと三十分も経ってないんだ)
初めて、この時間の外を見る。
(こんなに暗かったんだ…)
感動に浸ってるのも束の間
指輪からモルトの声がする
《透、早く外に出るんじゃ!神隠しの術が弱くなっている。
そして我の力があれば何かあっても大丈夫じゃ》
俺は勇気を出した、人生で今1番ピークかもしれない。
「モルト、信じるからね!!」
大声を出しながら俺は部屋の窓から飛び降りた。
その瞬間暗闇から真っ白な鱗が現れる。
「おやおや、ソロモンの指輪をしている契約者様ではありませんか。飛び降りは危ないですよ。」
気づけば俺は龍に乗っていた
「俺、龍とか初めて乗った!!
すげー、鱗キレー!!」
俺は初めて龍に乗ったことでテンションぶち上げ。
《バカモノ!!誰が2階から飛び降りろと言った!!
しかも、5番にまんまと乗せられよって。》
「おやおや、血糖値が上がって死んでしまいますよ、モルト。私は死んでくれたらうれしいですけどね。」
《透、角を折ってしまえ。我らなら勝てる》
なんかバチバチしてる空気をよそに俺はあることに気づく。
俺が住んでいたはずの家がとんでもなくボロ屋になっている!!
「え!俺の家なんかボロくなってる!!」
「あぁ、ここは昔亡くなった村だったのです。
おそらく村を再建するのが面倒だったため適当な場所を再利用し、神隠し村を作ったのでしょうね。住人には術でごまかしていたのでしょうね。おかげでこちらも術をはがすのにのに大変苦労していたところですよ。」
説明中に空を飛んでいると、したでみんなが保護されている。
(よかった、少しでも救えたんだ)
俺は救ってくれた神に感謝した。
「ところで、契約者様。
妖怪や神の類のものを、見たりいたしませんでしたか?目撃情報があると捜査が早く終わるため情報提供をお願いしたいのですが…」
「オッケー!今から話すね。足りないとこはモルトに任せる!!」
そう言い話し始めようとしたその時…
村の大人が急に浮かんできて何かをずっとつぶやく。、
「フッカツヲジャマスルナ、フッカツヲジャマスルナ」
まるで、ゾンビのようにこちらに語りかけてくる。
こちらに来て語りかけているのは大人だけ、つまりほとんどの人はグルだった
「何かに取り憑かれている、もしくは操られていますね」
冷静に分析してくれる龍さん(?)すごい。
感心していると下から棒が伸びて登り棒ののようにつかまって来た人がいた。
「[[rb:九垓 > くがい]]さん!保護しようとした急に九垓さんの方向に行ったんです!」
「なるほど、情報をありがとうございます源さん。」
「おそらくですが、狙いは私ではなく、彼ですかね。」
そう言い俺は背筋が固まる。
俺はこの相手を一人で倒すのか?できるのか俺に…
《下賤が我が主に何のようじゃ》
モルトが場の空気に圧をかける。
本当にペチャっと潰されるぐらいの圧だ。
「カエセ、カエセ、六カイ、カエセカエセカエセ。」
六?六はマモンの番号だ。なんで、知って…?
《人形、お前の君主は何番だ、もしくは大罪か?》
モルトはわかってるみたいだ、俺は一切わからないけど、多分何か掴んだんだ。
《5番こいつらは生け捕りか?》
「生け捕りでお願いします」
《よし、透捕まえるんじゃ》
「えええ!!どうやって俺初めてですけど?!!」
おれ魔法とか術(?)初心者なのに、いきなり高い要求されてない??
体操始めたての人にバクテンしながら移動してって言ってない?モルト?無理よおれ???無理無理
「無理無理絶対できない、やったことないし」
《大丈夫じゃ、なんのためらいもなく指輪付けれてた時点で合格じゃったんじゃよ。》
そんな指輪つけたら合格とかなくない??
《集中するんじゃ、ネットを張って全員を閉じ込めるイメージでガシッとつかむんじゃ。》
モルトが教えてくれるけど…
(え、ガシって?無理無理)
「大丈夫ですよ、あなたならおそらくできるでしょう。」
恐怖と不安が、混じりながら俺はゾンビ(?)に手を伸ばす。
(成功しますように!!)
俺は願いを込めた、
みんな仲良く傷つかずに、
幸せで入れる方法を!!
「ライトニング・ヒール!!!!!」
咄嗟に出てきた言葉だ、特に意味は分からない。
その瞬間眩い光にその辺一帯が包みこまれた。
暖かく、とても優しい光だった。
その後、あの呪われたゾンビみたいなのは捕獲するだけだったのだが、俺が浄化してしまったらしく、普通の人間になり、話が聞ける状態まで持っていけたらしい。
俺は力を初めて使ったこともあって
気絶してしまった。
「あの子、逸材ですね。
マモン、どこから見つけてきたんですか。」
「罰を受けた日からずっと土の中で眠ってたんだ。
起きたら馬鹿げた村があって、哀れんでおったら
いつの間にか、契約してたというわけじゃ。」
「なるほど、なにか運命かもしれませんね」
「十二支は全員揃ってるのか?」
「ええ、あのときから一人も欠けていませんよ」
「そうか、よかったのう。」
→→→→→→→→→→→→→→→
本作品はAIによるアドバイスや感想をもらったりするなどと言った支援を受けています。
そのため、AI使用に入る可能性があるためこちらに記載いたします。〜
設定や本文などは全て自分で考えて、書いています。
ご不快になられましたら申し訳ございません。
ご理解いただけますと幸いです。
書いている途中で気づいたのですが、モルトがマモンという名前にちょいちょい変わってます。
本名はモルトです
見つけ次第変更します。
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ここで働かせてください!! 他中田老 @tanaka_tar0u
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