カラス

白川津 中々

◾️

近年、カラス犯罪が社会問題となっている。


ゴミを荒らす、フンを落とす、人を攻撃するといった一般的な害鳥行為からエスカレートしていき、違法薬物の製造販売、特殊詐欺、暴行殺人、低所得者や外国人を騙し公的援助金の不正受給などを行っている。


「人間は僕らにとってはカモでしたね」


そう語るのは元カラスのFである。

彼は雛の時からSNSを中心に不適切な内容のDMを送り人を騙す行為をしていた。

カラスをやめた理由は、家族だという。番となって娘もできた今、非合法な稼ぎに頼るわけにはいかないと組織を抜け、家族とハトとして生活しているのだった。


Fはカラス時代、多くの犯罪行為に加担していた。時には暴力も辞さず、目玉をくり抜いたこともあると神妙な面持ちで打ち明けた。


「僕だけじゃないですからね。カラスにとって、それ(犯罪)は当たり前のことですから」


いったいなぜ、カラスは逸脱するようになったのか。Fは「時代ですかね」と声を落とす。人間社会に蔓延る数多の闇をカラスは見ており、一部のインテリカラスがそれを模倣したのだ。


カラス達は組織的な犯行を繰り返しており、現在カラス犯罪による被害は月に300件にも及ぶ。これらはすべて、一部のインテリカラスが指示しているという。


「普通のカラスはせいぜいゴミをあさる程度ですよ。僕もそうでしたから。でもねぇ、(インテリカラスは)頭いいんですよ。普通のカラスを上手く使って、どんどん縄張りを拡大していって悪いことをするんです。最初は僕らも楽しかったんですけども、やっぱり、女房が卵を産んで、それが孵化した瞬間に、あぁ……もう(犯罪は)やめようって……」


Fは最後に、「カラスがみんな悪いわけじゃない」といって、ハトの群れが待つ公園へと戻っていった。 


家族を持ったFは、すっかりハトとしての生活に馴染んでいる。しかし、彼が行ってきた罪が消えたわけではない。彼の行為によって普通の生活ができなくなった人間も多くいるのだ。


決して許すことのできないカラス犯罪。

人類は改めて、カラスと戦っていかなければならない。

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