温もりの中で進む、静かなカウントダウン。

この物語の特異な所だなぁと感じる所は、主人公の綾織戸あんねの等身大の学園生活や友情、進路への迷いといった温かい日常を土台にしながら、その隙間に未来から来た青年がもたらす「世界終末の予告」が少しずつ浸透していく構成ですかね。

まるで桜色の日記の合間合間に、ドドメ色の付箋紙が張られていく。
そんな感じが凄く好きです笑

登場人物同士の会話や、日常描写は自然、紅茶の香りや食事の味、浴衣の手触り、花火の光といった細やかな感覚描写が、個人的にすんなり自分の中に落とし込めて読みやすいですねー!

一方で、その温もりの裏には確実に減っていく残り日数。
虐待や孤立を示す、社会的でもあり、現実的な痛みを起点にした、滅亡の付箋紙がどんどん増えていく。

そんな日常の風景の中に、本来はあり得ない筈の『破壊神』というワードの登場。

その存在や背景は、神話や科学的知識を織り交ぜつつ、叙情的で好きです。
ここが一番好きかもです笑

とりあえず一読お勧めです、自分も引き続き楽しんでいきますねー!

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