メトロノームも頑張れば空を飛ぶ
@yanagi4201
メトロノームも頑張れば空を飛ぶ
「俺、もっとロックに生きていいと思うんだ」
『カチ…カチ…カチ…カチ…』
…メトロノームが喋った!
「俺、もっとロックに生きていいと思うんだ(2回目)」
いや、まさか、疲れてるのか?
なんかこっち向いてない?気のせい?
意味わからんけどドキドキしてきたし、汗もかいてきた。
『カチ、カチ、カチ、カチ、カチ、カチ』
「一定のリズムでカチカチ刻むのにもさすがに飽きたぜ」
聞こえない!俺は何にも聞こえな――――い!!
「メトロノームがモブ顔男子に問いかける、これもロックさ」
ふざけんな、忘れ物取りに音楽室に来ただけだってのに!
こんな所に居られるか!とっとと陸上部の部室に向かうと…うぉ!!
「恥ずかしがってメトロノームに声もかけられない…さてはチェリーボーイだな」
なんっ…いっで!背中にメトロノームが飛んできた!
どうなってんだコレ!!
しかも、チェ、チェ、チェ、チェリーボーイじゃねぇし!
あるし!あるよ!困るくらい経験値豊富だし!
「そうだね、チェリーボーイ(笑)。そんなことより、
とっとと俺を連れて逃げるんだな」
はあ?なんで
ドォォォン!
え?なに………
はああああああっ?ピアノがこっち来てる!?
「ああ、やつに食われるとリトライだぞ」
リトライって何!?怖ええええ、逃げなきゃ!
「おい、俺を連れていけ、パソコンのイルカよりは役に立つぞ」
イルカって何だよ!?
「なにィ!?知らないのか…おっくれてるぅ〜〜!」
うるせぇな、分かったからちょっと黙ってろ!
「うむ、泥船に乗ったVIP対応でよろしく頼む(イケボ)」
今すぐ化け物に喰わせてやろうか…
「やめておけ、死ぬことになるぞ」
お前がか!
「いや、お前だ…ほら、奴が近づいてきたぞ」
ああっもう、分けわからんがしょうねぇ!逃げる!
*
ハッハッハッハッハッハッ…
「ヨウメーン、知ってるかい」
知らん!聞かん!帰りたい!
「まあ聞きな、マジメな話だ」
しゃーねーな、必死に外に向かって走ってるんだ、簡潔にな!
「あいつ、階段登れないぞ」
もっと早く言えや!捨ててくぞ!
「メトロノームを捨てるなんてとんでもない」
呪いの装備かよ…ってか最初空飛んでなかったか?
「メトロノームが空を飛ぶわけないだろ、常識的に考えて」
常識外のことが今起きてんだよ!
しょうがねぇ、話は後だ!
屋上に逃げるぞ!
*
バンッ!
よし、屋上には…誰もいないな
「アッシー君ご苦労」
足くん?よく分からんが、ムカついたからその針抜き取ってやろうか、
カチカチカチカチうるさいし。
「MK5」
だから何言ってるかわからないって、
ただなんとなくだけど、古臭いぞお前。
「モノを知らぬ若造が…」
はいはい
んで、ここは何なの?
「ここは〇〇学園の怪世界だ」
「この怪世界に囚われた人間は、7つの怪談を解決しなければ
元の世界に戻れない」
…昔聞いたことがある、学校の怪談みたいなもんか
「そうだ、そして期限はないが”残機”がある」
残機?ゲームでいうライフみたいなやつか
「左腕を見てみろ」
あん?
…星のアザが10個?
「この世界で死ぬか怪異挑戦しに敗北、失敗すると1つ消える」
「それがすべて消えると、お前はこの怪異に取り込まれてしまう」
「実はさっきのピアノも『音楽室の怪異』だ」
あんなのが後6つもあるのかよ
「その通り、そして最初はグラウンドにいる二宮金次郎像と勝負だ」
なんで最初はそれなんだ?
「チュートリアルというやつだ」
ゲームかよ。
「そんな世界に取り込まれたお前…かわいそっ」
うるせーな、くそっ、行くしかねぇ!
*
よし、勝った!陸上部舐めんな!校庭10周程度は準備運動だ!
「完璧すぎてつまらん勝利だな、ジャリボーイ」
後6つか、この調子なら何とかなるな…っ!?
オイ
「どないした工藤」
工藤じゃねぇし、いや、あの空見ろよ
「なんだ、空を見上げて青春ごっこ………は?」
空から腕が生えてきて…こっちに向かっている!?
「なんだあれは」
なんだって、あれも怪異じゃないのかよ!
「7つの怪談に”あんな”のはない」
とにかく校舎に戻るぞ!
くっそ、速い!追いつかれる!!
「仕方ない、この状況ならペナルティにはならんだろう」
なんか言ったか!くそっ、間に合うか!
「なあ、チェリーボーイ」
カチ、カチ、カチ、カチ、カチ、カチ、カチ、カチ、カチ、カチ、カチ、カチ、カチ、カチ
うるせぇな!!
それどころじゃ、 ってなに光ってるんだお前ーーーーー!?
「自爆ってロックだよな…またな!」
あああああああああああああああーーーーーーーー
*
目が覚めると、音楽室だった
…は?
え?いや、グラウンドで金次郎像と勝負して、勝って、
それで、変な腕が空からが襲い掛かってきて、
なんか、あいつが自爆?みたいなことして、
で、たぶん気絶して
なんで無事?
体を起こして、状況整理…っ!
『カチ、カチ、カチ、カチ、カチ、カチ、カチ、カチ』
背後から聞こえる、あの音
「よう」
アイツのセリフを思い出す。
『この怪世界に囚われた人間は、7つの怪談を解決しなければ
元の世界に戻れない』
左腕を見る、星の数は10個のまま
そしてアイツはこうも言っていた
『この状況ならペナルティにはならん』
疑問と混乱が渦巻いているが、声が出ない
『カチカチカチカチカチカチ』
「俺、もっとロックに生きていいと思うんだ」
体が動かない、心臓がバクバクしている。
「そう思わないか」
『カチカチカチカチカチカチカチ』
姿はただのメトロノームが、規則正しく高速で刻んでる。
「チェリーボーイ」
今後の地獄と、得体のしれない恐怖。
そして
メトロノームと俺の心臓の鼓動が同じリズムだと
気付くのはまだ先のことだった
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
以下今回の創作で思いついたネタとか設定とか
・主人公VS学校の怪談VS別の怪異現象VSダークライ
・メトロノームは平成中期に取り込まれた人間が変容した姿
・メトロノームのリズム=主人公の心臓 つまり止まると主人公は死ぬ
・7つの怪談の怪異も取り込まれた人間たちが変容した姿
・7つの怪談をクリアしていく度、取り込まれた人間は解放される。
・現実世界にいるヒロインが主人公がいない+解放された人間を見つけてetc…
・主人公は実は寺生まれの対魔の血を受け継いでいたりいなかったり
メトロノームも頑張れば空を飛ぶ @yanagi4201
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