わたしが村上春樹さんをすきな理由

ゆきのともしび

わたしが村上春樹さんをすきな理由


はじめて読書会というものに参加した


課題本は村上春樹さんの 神の子どもたちは皆踊る

だった


わたしは読んだことがなかったから、この参加を機にはじめて手に取った



どきどき、緊張しながらテーブルに座る

知らない大人の方が、7、8人いる


村上さんをあまり読まない方もいれば、いろいろ読んでいる方もいる



「不思議だ、よくわからない、いったい何を言いたいのか

地震でなにかがつながっているのか」


いろんな声が飛びかった



⭐︎



わたしは、小説は、生きている作家さんでは村上春樹さんとよしもとばななさんしか読まない


それもあってか、「よくわからないのがふつう」みたいになっている節がある



村上さんの物語は、だいたいがよくわからない

わたしの心象では、紫色のきらきらとした万華鏡をみているかんじで、

こちらのこころの風景次第で、物語の模様も変わる


絵画を見ているような。音楽を聴いているような。

私にとって小説を読むことは、芸術作品に触れることに近いのかもしれない



だから、わかっちゃこまるのだ



なにか明確な答えが出ないまま、物語が終わることがほとんどで

ときには不穏なまま、砂漠にひとり取り残されたような気持ちで終了する


読書会で、隣に座った女性が言っていた



「何かが起こるわけもなく、終わりが見えるわけでもなく、

決して気持ちの良い感情ではないが、終わりの先にもなにかが続いていくような感じ」



うーん、そうだよなあ。

生きていること、生きてゆくことって、そんな感じ、のような気がする



⭐︎



いまの世界は、断定や、ジャッジメントや、決めることを求められる


暇つぶしにSNSをのぞけば、


〇〇な女性は〇〇だ

〇〇をしているひとは危険、近づくな

〇〇をすれば、〇〇になれる



ちょっと、、そんなバッサバッサ斬らないでよ、、

からだと心が痛くなる。血が出る。



決められないことってたくさんある

あっちに行ったりこっちに行ったり、ゆらゆら揺れている


ゆらゆら揺れていることに疲れたり、そんな自分に嫌気がさしたりするけれど、

でも、それが 生きている っていうことだとおもう


わたしは、わたしたちは、深い赤色の血が流れている人間だから



だからこそ、登場人物に具体的な説明がなく、言葉の色が深く、

荒涼とした草原を、顔のわからない誰かと一緒に歩いているような、村上さんの物語がわたしはすきなのだ



決めない

わからない


けれども人生は続いてゆく




柄にも合わずひとの中に入り、

知らない大人の方とおしゃべりしたらものすごく疲れて(人見知り)、


帰ったら速攻保冷剤をおでこに当てた



冷たいけれど、ピンク色の風が吹いた

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