概要
孤独だけど気楽な青年の妄想が現実を突き破る
夕暮れの日本海、真っ赤な海と古びた待合室。名もなき旅人の目に映る風景は、過ぎ去るトラック、ラジオの声、そして見知らぬ人々の物語へと静かに広がっていく。誰とも繋がっていないはずの場所で、ふと胸をよぎる他人へのまなざしと孤独を綴る。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!片田舎のバス停で質感をもって暴走する妄想
純粋に面白かったです。
片田舎のバスを待つまでの何時間もの間に質感をもって飛躍する妄想の数々、それらが主人公の意思を離れて勝手に動き出し、途中から逆に主人公が引っ張られてしまう……
滑稽な中にも寂寥感が見え隠れする構図に物凄く椎名誠イズムを感じます。ラストの衝撃と突き放したような冷たさも含めて。
バス停、最初に日本海側と書かれていたので昔行ったことがある氷見のバス停を勝手に想像していましたが、その後に出てくる酒田や魚津といった地名を見るに新潟の笹川流れとか、その辺りですかね。
確かにそんなところじゃバスなんてそうそう来ないだろうなと、薄ら寂しい日本海沿いの集落の情景もありありと浮かんでくる…続きを読む