最初の短歌から最後の短歌までの間に、一人の教師の人生を見る。思い出の中の学校生活と、現実のショベルカー。何処か物悲しさを感じさせる文章に、読み手の過去の記憶をも呼び起こさせる力がある。思い出でありながらも、しっかりとストーリー仕立てになっている所が秀逸で、読んでいて、まるで自分が教師となってこの学校に勤めていたように錯覚し、学校の最後を見守った気分になった。最後の別れも、今後を思わせる前向きな別れとなっていて清々しさすら感じさせた。とても綺麗な連作の短歌だと思う。
今作は一つの学校の終焉を教師目線で描いた短歌である。この短歌、生徒ではなく教師の目線から描かれているのが興味深い。長年学校に居続ける立場だからこそ、閉校がより悲しく感じられるのだろう。特に、最後の一首。とある学校が終わる悲しさを、私にも感じさせた。
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