みんなと巡り会う軌跡=奇跡

本人が意図しなくても、周囲の人の心を光で照らす女子高生の綾と、純喫茶『SUNDIAL』で働きながら、裏では始末屋という危険な橋を渡るような仕事をしている輝(ひかる)。
そして、非の打ち所がない紳士的な春彦や、気まぐれな猫のような清という、一癖も二癖もある個性的な『SUNDIAL』のメンバーが織りなす、一見のどかな日常。

素直な彩と、意地っ張りな輝の関係に焦らされる前半。
どうして、そんなに意地を張るのだろう?
どうして、そこまで頑ななのだろう?
輝が綾を「クソ女」と呼ぶたびに、可愛さを覚えたり、逆に胸が痛んだり。
でも、そんな痛みを伴うのが青春なのだろうと。

後半は、始末屋としての『SUNDIAL』の裏の顔にスポットが当てられ、ハラハラする場面も多数。
でも、だからこそ、綾を守りきった三人の思いや、綾と輝の心の結びつきが胸熱で……いやいや、そこはここで多く語ってはいけないところですね。
ぜひ、作者様の繊細で、時には臨場感に溢れた迫力ある文章で味わっていただきたいです。

それぞれの登場人物に背景があり、縁があって、今一緒にいる。
その中でも、『SUNDIAL』が繋いだ輝と綾の出会いは、わたしにとっても特別に素敵な奇跡でした!