ユーモアと緊張感が絶妙に交錯し、読みながら思わずニヤリとしてしまいます。
彼の活躍を通じて描かれる世界は一見すると優しげながら、読み進めるほどビターな味わい。 仕事柄、散りゆく者達を看取る機会が多い、けれどそれを引きずる事なく淡々と次へ移る、ハードボイルドな冒険譚です。 少なくとも当レビュー執筆時点ではエピソード毎のカロリーがほどほどなので、個人的には気軽に読む事ができました。 謎の存在とも言える主人公のルーツが気になるところですが、果して。
ひたすら強い主人公があらゆる難治を一人で難なく片付けていきます。まさしくいぶし銀、渋い、といった表現がよく似合いますが、なにせ頭部があれなので実年齢は不明。基本淡々かつ超然としているのに何だかんだで人付き合いや社会のしがらみから逃れられないで、時々妙に俗っぽくなるのも魅力です。
静かに強い主人公・ゼノが、淡々と依頼をこなしていく姿が印象的でした。いわゆる“俺TUEEE系”でありながら、破綻のないキャラ設計と落ち着いた筆致で、最後までじっくり楽しめました。テンポも安定しており、安心して読み進められる作品です。静かに沁みる強さや、重すぎず緩すぎない冒険譚が好きな方におすすめです。
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