ネット小説投稿者の苦悩と喜びを笑いと共感で描く快作!

とてもユーモラスかつリアルな創作投稿サイトあるある小説!
この作品は「小説投稿サイト」で奮闘する初心者作家・芽吹の悲哀と喜び、そして他の作家やレビューアーとの微妙な距離感が、実にコミカルかつ愛情深く描かれています。

投稿初日の「全然読まれない!」という苦しさ、思わぬ人気作家からのレビューが爆発的なPV増につながる一時の夢、そして一瞬で平常運転に戻るランキングの現実など、ネット作家の誰もが経験する「あるある」な気持ちがとても細かく、共感を誘う筆致です。

また、他作家との“レビュー合戦”や“クセの強いレビューアー”、ジャンル違いの投稿の困惑や「レビュー書かなきゃいけないプレッシャー」、ジャンルや話数の多さに圧倒される戸惑いなど、どの描写も生々しく、それでいて笑える仕掛けが満載です。

“注釈だらけ”や“オリジナル言語”のギャグもセンス抜群で、芽吹の苦悩がコミカルに描かれているところに作者の優しさも感じます。

第3話では、有田イルや芽吹の大学時代のエピソードも絡めて、プロとアマ、人気作家と初心者の間の「本当はみんな書きたいものを書きたいんだ!」という叫びが爽やかに伝わります。
作品そのものが「ネット小説文化」への愛と皮肉、そしてエールに満ちています。

改善点・辛口ポイント

ギャグ・テンポ重視のため、一部の登場キャラが類型的で、個別の強烈なキャラ立ちまではやや届かず。
サイト内文化の内輪ネタ感が強めなので、同じ経験がある人には刺さるが、投稿サイト未経験の読者には一部伝わりにくい箇所も。
“注釈だらけ”ネタや“言語ネタ”は好き嫌いが分かれそう。(個人的には大好きですが!)

採点(★~★★★)

★★★(満点3つ星)

初心者作家の悲哀、ネット投稿の喜怒哀楽、そして「書くこと」の苦しみと楽しみが、これほどまでコミカルに描かれているのはすごい。
同業者・書き手目線では間違いなく「星3つ」。
もし読書経験やネット小説文化が浅い読者でも、主人公の一生懸命さと可愛らしさは必ず伝わるはずです。

総評一言

「小説投稿者の“あるある”が詰まった、皮肉と愛情のコミカル短編。苦いけど笑える、ネット小説世界へのエール!」

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