正義とは何かを問いかけてくる、不思議な奇譚でした

 正直に言うと、最初タイトルを見たときは「勇者が出てきて戦う話なのかな?」と思って読み始めました。でも実際には、剣を振るうような勇者キャラは出てこなくて、ちょっと拍子抜けしました。

 ただ読み進めてみると、この「勇者」っていうのは人やキャラじゃなくて、立場や見え方の象徴なんだなって気づきました。誰かにとっては勇者でも、別の誰かにとっては悪魔に見える。そういう“正義の相対性”みたいなテーマが描かれていて、「なるほどなぁ」と考えさせられました。

 蛇や信仰の描写、環境や自然のイメージなんかも混じっていて、正直わかりにくい部分もありました。でもそれが“奇譚”という言葉の雰囲気とぴったりで、全部を理解できなくても不思議な余韻が残るんです。

 私としては、勇者が出てこなかったのは少し残念だけど、「正義とは?悪とは?」って問いを投げかけられるような気がして、読み終わってからじわじわと印象が残りました。

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