第3話 新しい生活

無事高校受験が終わり、4月になりおーは家を出て

新しい生活が始まった


母親や周りから、姉と比べられる事も要らないと

言われる事も……いじめっこ達からも離れ、

やっと少しは自分らしく生きられるかと思った


でもそれは間違いだった


新しい生活には、新たな苦難が待っていた

おーは元々、女の子達特有のグループ行動や

〈みんな一緒〉が苦手だった


トイレも一緒……好き嫌いも一緒……

自分が言われてなくても、言われたかのように

気持ちに同調する

おーにとっては、理解出来ないに近かった


自分が言われたりされたりしないと

相手の事や性格を判断したり、嫌いにはなれない

それどころか、嫌な一面があってもどこかに

いい所があるんやないかと探すタイプだったから


きっと元々白黒ハッキリしてる方だったのに

加えて、いじめられた経験から、そんな思考に

なったのかもしれない


でも、おーの行った学校は県外だったので、

寮生活となった

寮となると、同性ばかりになるわけだ

しかも、選んだ学科の特性上、クラスも同性だけ

とても苦痛だった


ただ、学校自体は共学だったから、学校ではほかの学科の

友達が出来、その中には男子も居た

特に、その友達の殆どは自宅通学生…所謂地元の子達だった

それだけが、その時のおーには救いだった


寮に帰れば、同学年から先輩までの同性ばかりで

部屋も2~4人が同部屋、お風呂も食事も寝るのも一緒

テレビは、先輩に主導権があり、1台のテレビを

みんなで一緒に食堂で観る


電話も隣の寮母の家に1台しかなくて

かかってくるのもかけるのもその1台…だから

どうしても順番待ちになる……時間も10~15分と制限つき

同じ電話なので、コレも先輩優先


部屋にいる時は、イヤホンを付け音楽やラジオを

聴きながら、読書や勉強するのが唯一息抜きだった


ワイワイ話ししていても、次の日には

あることない事が、ホントの話として拡がる

そして、一斉に無視が始まる……なんて日常茶飯事

それは、学校の学科内の3クラスでも同じだった


おーは家を出て、次は同性特有の付き合い方や

嫉妬や妬みと言うものに悩まされ

巻き込まれる日々を送ることになったのだ


親や子供の頃からの知り合いとのしがらみも

辛いものだが

親しくなる前から、壁を作り人を疑い

恐る恐る距離を縮める……

そんな生活は、ほんの数ヶ月でおーの心を

簡単に壊した


今思えば、この頃にはすでに

急性胃炎で頻繁に倒れたり摂食障害や睡眠障害に

似た症状がおーには出ていた


コレが、おーのメンタルが〈障害〉と

言われるほど病んでいくキッカケだったのだ


この同性との生活は、結局高校だけでは終わらず

専門科の2年間とその後の就職先は、更に酷かった

なぜなら、年齢的に異性に興味を持つ年代で

彼氏が出来た出来ない、誰の彼氏はカッコいい!

年上で大人っぽい…など、嫉妬や妬みのオンパレード

だったからだ


就職先は、寮とは名ばかりのアパートの一室を

借りてもらえてたので

家に帰れば、学生時代よりマシだった


ひとりで、ゆっくり音楽を聴いたり料理したり

家事をして、寝たい時に寝られる

仕事のシフトは厳しかったけど、寮生活や実家より

自由だけはあった


でも、今の時代からは想像出来ないほど

今で言うパワハラ・モラハラ・セクハラ…等など

地位・権力・年齢が上の相手の言動は絶対で

断わる・逆らうなんて考えられない…そんな時代だった

それは相手が、同性異性関係なくだ


それに加え、生命に近いという仕事の性質上

ストレスとプレッシャー…それを「仕事」と

割り切れない性格が自身を苦しめることになり

メンタルは更に壊れていき、心療内科の門を叩く

ことになった

辞める頃には、自傷行為が出てきていた為

心療内科ではなく精神科に通っていた


そして、就職して初めての夏…初ボーナスで、人生初の

大きな買い物をした

とても蒸し暑い地域だったので、体温調節が出来ないから

ずっと避けてきたクーラーをおーは買ったのだ

そして、その買い物をした事で、この就職先の土地で

最初のダンナとなる人物…Sと知り合うこととなる











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中途障害者おーの半生 今生きてるのが楽しい! 明るく派手な中途障害のおー @kurumaisu-obaba

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