第13話 終劇
お師匠は入滅し御仏になってしまった。
だが三蔵経典が残っている。これを長安に持っていかなければ
お師匠様の苦難が無駄になる。
皆の想いは一緒だった。
幸い、体は全員元に戻ったがお師匠の心は戻らなかった。
弟子の全員は師匠の体を荼毘に伏した。
その炎が夕焼けの空をさらに赤くする。
八戒と玉龍と哪吒はまだ炎の前で泣いている。
孫悟空と沙悟浄はそっとその輪から抜け出した。
「悟空どうするんや」
「さぁな、とりあえず故郷がどうなったか見に行くぜ・・・
そのあとはまたぞろ天界に殴り込むかな・・・」
「お師さんに止められるぜ」
「そうなったら頬を張り倒してやって地上に連れ戻すまでよ・・・」
「あいかわらずムチャクチャやな」
「お前はどうすんだい」
「この髑髏、全部お師さんなんや・・・今回の分も首から下げるわ」
沙悟浄はこれが何回目なのだろうか?
「ええわい、輪廻いうてな、全てうまくいく目もあるんや。
長安でわしの弟子ができて安心したらお師さんの後追うわ」
「それじゃ次の輪廻でほんとにカッパになるかもしれねぇぞ」
「いや次こそは上手くいく気がするんや・・・その時はまたの・・・」
「ああっ」
二人は抱き合った。
涙はない、それぞれすることがあるからだ。
孫悟空は筋斗雲を口笛を吹いて呼び出した。
「達者でな」
「お前もな」
孫悟空の雲の軌道が東の夜空に描かれていった。
終劇
五行探索(復路西遊記) 稲富良次 @nakancp
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