おっさん、初めてのパパ活で堕ちる

国見 紀行

さ、一緒に気持ちよくなろ……

 夜も遅い11時。LEDがギラギラ光る巨大な建物の前で俺は一瞬足がすくんだ。


「うを、近くで見るとすごいホテルだな」


 俺は普段、会社帰りに見ていた豪奢なホテルへとやってきた。

 溜まりに溜まった仕事の鬱憤を、先日街であったJKのエミリちゃんに『パパ活』してもらうために!

 しかも彼女は、他にも友達を呼んでくれてるらしい。

 興奮でもう俺は、すごいことになってるぜ。


「一緒にホテルに入ると恥ずかしいからって、先に入ってるはずなんだよな」


 恐る恐る中に入ると、薄暗いカウンターにホテルマンが立っていた。


「すいません、予約してた佐竹ですが」

「お伺いしております佐竹様。お連れ様が先に到着なさってるので、114号室へどうぞ」


 俺は返事もせずに部屋へ向かう。料金は出たときに払うことになってるので必要ない。


「114…… 114……」


 11階の4号室! 俺はさっとボタンを押して11階につくと、周りを気にしながら4号室のドアをノックする。


「えーみりちゃーん♪」


 がちゃ、と扉が開くと、再び扉があった。


「おん? 扉にメモ? 『先にお風呂を済ませてね』って!? よーーし!」


 幸いすぐ隣がお風呂だったので俺は急いで風呂に入る。一応来る前にも入ったが、臭いが好みじゃなかったら嫌われるだろうし。


「服は…… いいか。備え付けのガウンで」


 扉を開ける。


「おや、また扉だ。んでメモもあるな…… 『実家から送ってもらった栄養剤です。元気出るから飲んでから入ってね』と」


 ゴクゴクゴクゴク。


「うぅ〜、苦いなぁ。……ってまた扉か!? 今度は『あっちの方も使いたいの! キレイにしてほしいなぁ』……え、カンチョー??」


 ここまで来たら綺麗にするでしょ!


   ※しばらくお待ち下さい※


「も、もう何も出ねぇ……」


 最後の扉を開ける。


「あー! 待ってましたよー佐竹さーん!」

「や、やったぁ! エミリちゃん!」


 彼女たちは生まれたままの姿で俺を待っていてくれた。

 え、エミリちゃん、そのナタ は――


「わー、エミリうまーい! 一太刀で首飛んだよ!」

「こうすると血抜きの必要ないのよねー。ついでにこっちカタいほうも―― えい!」


 そう言いながら彼女は次々に俺の身体を切り刻み、置いてあった屋形船風の食器に飾り付けていく。


「はーい、『パパ活』一丁上がり!!」


 不思議なことに痛くはない。意識もある。

 だからこそ、彼女たちの胃の中へ俺の身体だったモノが消えていくたび、自分の犯した間違いにただただ後悔したのだった……

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おっさん、初めてのパパ活で堕ちる 国見 紀行 @nori_kunimi

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