両親に似ない容姿だと母に邪険にされ、意地悪な姉に心を削られても病身の父を慮り、健気に毎日を過ごす少女椿。
産まれながらに額に浮かんだ紋様はその家の屋敷神と結婚する者の証だった。
16歳になったその日、椿は蔵で目を覚ます屋敷神の元へと輿入れした。
桜色をしていた屋敷神との契約紋は爛れて見る影もない。彼女を迎えた童子姿の屋敷神千寿は、彼女の不幸を見抜き慈しむ。
額の印と千寿の姿は椿の幸せを表す映し鏡。
千寿との穏やかな生活と幸せ。それを許さない周囲の環境。過去の亡霊として椿の心を掻き回す千寿の元妻達との思い出。
それらを絡み合わせ、優しい筆致で紡がれる美しく優しい、素晴らしい異類婚姻譚でした。完結おめでとうございます。
主人公、椿ちゃんは大人しい女の子。でも、決して気弱ではありません。物事をしっかと考えられる物怖じしない良い子。自分に出来ることを精一杯頑張ります。
そんな素敵な椿ちゃんのお相手はなんと神様の千寿様。美少年から美青年へと成長する彼を独り占めできる椿ちゃん、もとい、彼に寄り添い共に生きようとする椿ちゃん。
心温まるピュアなラブストーリーです。
読み手を物語に引き込むそのストーリーの完成度、キャラの魅力、テンポの良さ。
読んでよかった、続きが気になる!そんな気持ちにさせてくれる神作です。
まだ序盤を読んでいますが、この先の期待を裏切らない面白さは確定ですので、評価させて頂きました。