健気な少女と屋敷神の王道契約婚姻譚
- ★★★ Excellent!!!
両親に似ない容姿だと母に邪険にされ、意地悪な姉に心を削られても病身の父を慮り、健気に毎日を過ごす少女椿。
産まれながらに額に浮かんだ紋様はその家の屋敷神と結婚する者の証だった。
16歳になったその日、椿は蔵で目を覚ます屋敷神の元へと輿入れした。
桜色をしていた屋敷神との契約紋は爛れて見る影もない。彼女を迎えた童子姿の屋敷神千寿は、彼女の不幸を見抜き慈しむ。
額の印と千寿の姿は椿の幸せを表す映し鏡。
千寿との穏やかな生活と幸せ。それを許さない周囲の環境。過去の亡霊として椿の心を掻き回す千寿の元妻達との思い出。
それらを絡み合わせ、優しい筆致で紡がれる美しく優しい、素晴らしい異類婚姻譚でした。完結おめでとうございます。