あの夜、見つめていた女 ― 金縛りと青白い手の記憶 ― 






小学四年生の冬だったと思う。


夜中、喉が渇いて目が覚めた。


布団の中で少しだけ頭を起こすと、自分の部屋から隣の部屋が見えた。


ドアの向こうにうっすらと灯りが漏れていて、親がまだ起きているのがわかった。


ぼんやりした視界の中で、ふと気づく。親のいる部屋の入り口に、誰か立っている。


女の人だった。


黒い着物みたいなものを着て、肌はありえないくらい青白い。


「……お母さん?」


そう思って、声をかけようと口を開いた瞬間。


――声が出ない。


体も動かない。金縛りだ、と気づいたのは、もっと後のことだった。


その女は、表情一つ動かさず、ただこっちをにらんでいる。


目が合っている。まっすぐに。狂気じみた、怖い目で。


怖すぎて、思わずぎゅっと目をつぶった。


その直後だった。


腹の上に「何か」が乗ってきた感覚がした。


重い。ずしりと、体の中まで冷えるような重さだった。


恐る恐る目を開けると、顔のすぐ上に、あの女がいた。


真っ青な顔、何かを失ったような濁った目。


その青白い手が、ゆっくりと、ゆっくりと、私の首元へ伸びてくる。


喉が、冷たく締まった。


声も出せない。苦しい。いつ終わるのかわからない。


気づいたとき、私は汗びっしょりになって、布団の上で息を切らしていた。


怖くてたまらなかった。とにかく親のいる部屋へ行こうとした。


でも、下半身が動かない。


足が麻痺したみたいにまったく言うことをきかなかった。


それでも這って、ほふく前進のようにして親の部屋へ向かった。


「なに? どうしたの?」


ようやく起きた母に、必死でさっきの出来事を伝える。


でも、母はただ


「私、あんたの部屋なんか見てないし、化粧もしてないわよ」


と言うばかりだった。


あの女は――なんだったんだろう。


あれは本当に夢だったんだろうか。


___________________



これで2つ目、まだまだたくさん恐怖体験があるので、、、、

あんまり思い出したくないですが書いていこうと思います!!!


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本当にあったリアル恐怖体験 恋夢 @remunico

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