エッセイ シンプルライフ根っこ

阿賀沢 周子

第1話

 生活スタイルを「シンプルライフ」と心がけて、長い年月が経った。最初のきっかけは家庭を持ったことだ。専業主婦だったのでやりくりに知恵を絞り、子育てをしているうちに定着していったと思う。


 一人目の子供が生まれた5月、小さな庭の片隅にトマトを植えた。離乳食で、もぎたて完熟のトマトの味を覚えて欲しかったからだ。子供の日光浴を兼ねてトマトの世話をした。


 1986年4月チョルノービリ(チェルノブイリ)原発事故が起こった時、二人目を妊娠していた。新聞やテレビのニュースを見ていて「杞憂」という言葉が浮かんだ。取り越し苦労などを意味する熟語だが、「原発は安全」といっていながら実際に事故が起こってしまったじゃないか、という感じだった。


 マスコミは8千㎞離れた日本への影響を盛んに報道した。幼い子供を守るために具体的にどうすればよいか、食べ物飲み物の安全性を知る必要があると考えた。信頼度の高い食品を手に入れ、子供の口に入るものは自分の手で作るといった生活スタイルが基本になっていった。


 先日の新聞で、ビジョナル(ビズリーチ)の社長南壮一郎氏が「過去の経験とか常識とか価値観にとらわれず、本質を見抜いて順応していかなきゃならなかった」と子供のころの海外生活について話していたが、当時の自分は大人だったが、まさにそんな心境でいたのだ。


ストレスをためず、環境に優しく、ムダ・ムリ・ムラなく丁寧に暮らすのがシンプルライフ。持続可能な社会を目指す生活をしなければ、子供たちに未来を残せないというのが根っこにある。

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