39.アルドリック研究記録


研究記録 MVR-64-1:24

記録者:アルドリック・ヴァレンシア

分類:仮想応対実験/王族対応試行(マリアンヌ・クローディア)




目的

第一王女マリアンヌ=ヴァルターン殿下の辺境伯領視察に先立ち、仮想環境「夢幻のアーク」内にて訪問シナリオを再現する。

主目的は、アルドリック本人および夢幻のアークの存在・機能を秘匿したまま、殿下に不信感を抱かせず、非敵対的な印象を形成できる条件を検証することである。


――


実験環境


- 仮想演算領域:夢幻のアーク Ver.9.24

- 参照データ:王都内外での行動記録、観察対象の言動分析、セリオスとの会話断片を基に構成

- 時間加速倍率:1:24

- 実行パターン:全64通り(訪問開始から帰還までを含む全行程)

※一部のシナリオでは早期終了あり

 


主変数


1. 応対人物の構成(セリオス/ニーナ/リリアン/ノエル)

2. 殿下の質問深度(表層観察/技術的言及/忠誠確認)

3. セリオス・ニーナ・リリアン・ノエルの介入の有無と順序


――


敵対の可能性最低確率のパターン(No.27)


導入

- セリオスが主導で殿下を迎え入れる。

- 殿下、ゼノン、カミラを常に単独で行動させないよう誘導する。


施設案内

- 第一室、第二室は包み隠さず開示する。

- 第三室は入場不可とし、ノエルを第三室前に配置することで、入場できないことへの不信感を意識的に緩和する。


ヴァレンシア屋敷内

- ニーナを配置し、殿下の意識をニーナへ向ける。

- ゼノンを単独行動させ、セリオスの部屋へ意識を向けさせる。

- セリオスの部屋入口と隔離空間の連結を閉鎖する。

- セリオスの部屋には簡潔な書類を配置し、魔導具は旧式のものに置き換える。


翌日(ヴァレンシア屋敷内)

- 屋敷にリリアンとノエルを配置する。

- ノエルは早期離脱を試みる。


――


統計的結果(要点)


- 第三室に対する疑念発生率:18.7%(ノエルの配置により低下)

- セリオス達との敵対発生率:10.4%(情報を適切に開示することで抑制)

- アルドリックの存在に言及されたケース:1件(孤児に関する連想発言が原因)

- ノエルを連れて行かれるケース:1件(原因不明。信頼度構築が間に合わなかった可能性あり)


――


対応補足


1. 虚偽発言のリスク

いかなるパターンでも虚偽の発言を行えば、殿下との敵対が高頻度で発生する。


2. 情報開示のタイミング

求められた情報は時間を置かず、誠意をもって対応することで、開示情報を更なる抑制可能。


3. セリオスの部屋の配置

- 書類は一目で理解できるものを配置することで、内容についての関心が高まる。

- 魔導具については、隔離空間形成用のランプを旧式のランプに置き換えることで、旧式の魔導具に意識を向けさせることが可能。


4. アルドリックの名が言及された場合

アルドリックに関する言及があった際は、情報を開示することで被害を軽微に抑えられる。


5. 夢幻のアークの認識リスク

夢幻のアークに関連するリスクはゼロ。


――


結語


加速倍率1:24における演算負荷は許容範囲内であり、現実時間との整合性も高精度に維持されている。

今後、王族クラスの来訪には、“意図を持たぬ探査”への適応能力が必須である。

夢幻のアークによる先行演算の有効性は依然として高く、その改良余地も大きい。


――


次回課題


1. 同行者に分析系魔法を持つ者が含まれる場合の再演算

2. 視察結果を踏まえた王都側の再来訪を想定した対応案の策定


――


以下、全てのパターンについての詳細


 





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あとがき


66話まで書いてみたけど、イマイチ面白くならなかったので、ボツでお願いします。

続き読みたい方がいたら、完結まで書くかもです。

その時はコメントか何かで教えて欲しいです。


66話まででいいなら、比較的早く載せるのは可能です。

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