概要
この国は、魔術による戦乱の世を平定した建国の祖・舜堯が建てた国。
建国の後、舜堯とその右腕であった建国の剣・源彩恩は、未来への安寧を願って聖国の民とその末裔たちに、直接魔術で人を害することができない古代魔術ーーーー戦魔禁断術を行使した……。
建国から幾星霜。
聖国は、今なお、舜業の末裔である皇帝を頂点に百官がその治世を支えるている。豊かな資源とさまざまな魔術を応用した技術により、民は豊かで穏やかな生活をーーーー穏やかな生活を……?
ってそんなわけないでしょう?
建国してから幾星霜も経てば、建国者の理想なんて遠い夢物語。THE⭐︎理想論。
世の中の仕組みも変わるし、考え方だって変わってくる。良い方に変われば素敵だけれど世の中そんなに甘くない。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!理想と現実の狭間で揺れる、星森大陸の“安寧”再構築譚
建国の祖が残した「人を直接傷つける魔術を禁じる術式」
それは未来の安寧を願ったはずが、幾星霜を経て聖国に大きなハンデと歪みを生んでいた――という導入が痛烈です。
建国者の理想を盾に甘い汁を吸う者、弱者を踏みにじる者、他国からの侵攻に怯える民……。
“理想論”の裏で腐敗が進む様子が軽妙な語り口で描かれ、読者は思わず頷いてしまいます。
そんな中、不幸体質の病弱王が、ご先祖の願いを現実に落とし込むため立ち上がる展開は、皮肉と希望が同居する魅力的なもの。
理想を笑い飛ばしながらも、それでも前へ進もうとする姿が胸に残る、星森大陸の再生物語です。 - ★★★ Excellent!!!この小さな皇子が、やがて国を背負う――その軌跡を見届けたくなる物語
圧倒的に壮大な世界観と緻密な設定の中で、一人の皇子の成長をじっくりと追っていく物語です。
最初の印象、とにかく筆が強いです。
漢字や設定が多い中でも分かりやすく、これだけの情報量がありながら迷わず物語を追っていけます。
主人公の小聿は、幼く病弱でありながら、とても聡明な皇子。
本を読み、魔術を学び、祈りを捧げ、人を慕い、時には年相応の可愛らしい顔も見せる。
そんな彼が皇族として生きる世界は、決して優しいものではありません。
皇宮を取り巻く政治や思惑、複雑な人間関係。
国に根付いた信仰や魔術の体系も物語に深く関わり、幼い小聿にも容赦なく「皇子としてどうあるべきか」が突きつけられていきま…続きを読む - ★★★ Excellent!!!苦悩と痛みを抱えた高貴で美しき天才の、中華風大河ドラマ
聖国に於いて十四歳という異例の若さで官吏となった文武両道の大天才、彩棐が、宮中での事件を解決していくところから、この物語は始まります。
美しく、優しく、高貴な血筋に生まれた彼は、素敵な仲間たちに囲まれ幸せそうに見えますが、その内面には暗い過去と深い傷を抱えており……と、ここまで読んでぞくぞくしてきた方は、絶対に読むべきです!
第一章の「走れ!新人官吏くん!」では、軽快な謎解き官僚ものとしての魅力で読者の心を掴んでくる本作ですが、第二章「月の皇子徒桜とならん」では、彩棐の幼少期に話が戻り、彼の過去が明かされます。
個人的には、この第二章で本当に心を奪われた感がありました。
その血筋と類稀な…続きを読む