『おばけさんといっしょ』
やましん(テンパー)
『おばけさんといっしょ』
シベリウスさま(1865~1957)の書いた音楽に『悲しいワルツ』という作品があります。
もともと、劇音楽のなかにある小品ですが、早い時期から単独のピースとして、世界的に人気となりました。死期がやってきた、ある、おかあさまが、死神さまと踊る、最後のダンスです。
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毎晩、やましんちの小さな寝室では、舞踏会が開かれていた。
使われる音楽は、やましんがかけるCD音楽である。
その内容は多種多様で、必ずしもダンス音楽というわけではなかった。たとえば、シベリウスさまの『交響曲第6番』の第3楽章とか、ベルリオーズさまの『幻想交響曲』の第2楽章とか、チャイコフスキーさまの『交響曲第5番』の第3楽章とか、そうしたものもよく使われた。
しかし、やはり、いつも最後に来るのは、ヨハン・シュトラウス・ジュニアさまの『美しく青きドナウ』だったのである。
夜がしらじらと明けてゆくころ、舞踏会は終わる。
お客さまは、ゆうれいさん、おばけさん、ごきさん、ちゅうさん、ぬいぐるみさんたちである。
もし、誰かがみたら、ゆうれいさんやおばけさんは姿が見えず、ごきさん、ちゅうさんは、小さすぎて見えず、ぬいぐるみさんたちは、ぐるぐる回るやましんの周りを取り囲んでいるだけである。
食べ物は持ち込みで、終わったら自分達で清掃して帰るのがきまりだ。
それはもう、夢のように楽しい日々であった。
🌸🌸🌸🌸🌸🌸🌸🌸🌸🌸
しかし、夢は夢にすぎない。
ゆうれいさんや、おばけさんは、長生きする。
ごきさん、ちゅうさんたちは、強いのだが長生きはしない。でも、子孫はいっぱいいた。
ぬいぐるみさんたちは、長生きできる。
やましんちは、やがて、廃墟となった。
あまり良くない噂が走ったので、買い手もなかった。
けれども、あの、夢のような舞踏会は、いまだに続いていたのである。
やましんが、ゆうれいさんになっただけで、あとは、なにも変わらなかったのだから。
『では、つぎ、バルトークさんの、舞踏組曲、ゆきます。』
『おわあ〰️〰️。』
🎉🎉🎉🎉🎉🎉🎉🎉🎉🎉🎉🎉パンパン❗
と、いうような、あたりだったのである。
ある晩のこと、ゆうれいやましんが言った。
『今夜は、やましんがフルートを吹きます。ニルセンさまの‘’霧はあがってゆく‘’。もしかしたら、大バッハさまの‘’シチリアーナ‘’、フォーレさまの‘’こもりうた‘’と、‘’シチリアーナ‘’。それに、‘’グリーンスリーヴス‘’です。』
『やあ、やあ👋😃』
ゆうれいさん、おばけさんたちは、みな、大喝采した。くまさんたちも。
ま、練習してないわりには、上手に演奏できたのだった。
おわったあと、拍手に答えて、やましんが言った。
『みなさん、ありがとう。この、舞踏会も、今夜をもって、ついに、終わります。ぼくも、つかれたので、くまさんたちといっしょに、静かに眠ります。さわぎたいかたは、勝手にさわいでいいですよ。では。』
それで、そのあたりは、ついに、永遠に静かになったのである。
しかし、地球に残っていた、たくさんのお墓では、それ以来、ある種の舞踏会ブームとなった。
噂は噂を呼び、舞踏会は広がってゆき、次第に偉かった人達も集まるようになり、やがては、国家元首クラスのゆうれいさんたちもあつまるようになった。
ついに、地球全体に、舞踏会は拡大したのである。
そうして、ようやくにして、地球に平和が訪れたことを、みなが祝ったとされるのである。
✴️エンサイクロペディア・プルート『失われし地球の伝説』第253巻より。 (冥王出版社版 火星歴3511年)
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やましんは、おふろで、CDを聴きながら、のぼせて、たおれていた。
『おばけさんといっしょ』 やましん(テンパー) @yamashin-2
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