目に耳に、鮮やかに焼き付くその景色。

穏やかな夏の日、僕は祖父に終戦の頃の話をねだる。
祖父が語ったのは少年の日、疎開先で過ごしたきょうだいたちとの朝のこと——。

穏やかな朝を切り裂くサイレンと機関銃の音が聞こえるようで、言葉に表しようのない感覚が胸の底をなでていった。
ただ、ひらめくスカーフの色が目に焼き付いている。

ご一読を。

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