おかしいことは超能力を使える10人と出会った話

@kaminetu

第1話

この学園は普通だと誰もが思っていた。当たり前の日常、些細な出来事が何かと関わっていたとは誰も思わないだろう。

 

 そう僕もそう思っていた。

ーーー

 3月10日学校だ。次の学年に進むのが近づく季節。3年生は卒業する中、10人いっせい同じクラスに、同じ日に転校して来るそうだ。外もクラスの中もザワザワと騒いでいる。それも10人とも違う場所からやって来るそうだ。

 

 そして「ガラガラ」とドアが開く音が聞こえる。その音を聞いた瞬間転校生が来たのではないかと思ってしまう。だがそれは違った。

 

ただドアが開いていた。風で空いたのか?と謎は深まる。それに気がついたのは僕だけみたいで僕はドアに近づこうとする。

 

「転校生が来るのがそんな楽しみなのか」

 

 と階段から上がって来ている先生が俺を見つめて10人の転校生を連れてきた。数えて見る。9人とも女子。残りの1人は何処に。俺の背後からタッチされた感覚があった。僕は後ろを見ると、たいそううつくしゅう金髪の乙女がいた。僕はつまずく。背中を支えてくれたのは赤髪の少女だ。

 

「転校生は待て。大河お前は早く席につけ」

「はい」

 

と僕はいう。僕と先生は教室の中に入った。

 

「みんなも知っている通りこの学校に転校生がくることになった」

 

 喜ぶもの、嫌がるもの、人それぞれだった。僕はどちらかというと怪しい。何か普通では起こり得ない現象が起きそうだと思った。

 

「入って来てくれ」

「あれ9人だったか?」

 

 先生はそう言った。そこにいたのは9人、一人足りない。僕の背中をツンツンと触られた感覚があった。僕は後ろを見ると、金髪の美しい女性だった。僕は椅子から前にぶつかりそうになった時赤髪の少女がいた。助けてくれた。その前に助けられた気がしてならない。

 

 ……だが。あれ僕は何していたんだ。確か9人だったはず。ちゃんと10人いるじゃないか。おかしいなぁ。……おかしくないじゃないか。元から10人だったぞ。

 

 転校生が自己紹介を言って終えた。普通だ普通のはずだ。だが僕はなぜか普通じゃないそんな気がしている。

 

 そして休み時間赤髪の女性が僕に声をかけて来た。

 

「さっきは大丈夫?」

「えなんのこと?」

 

 僕はチラッと彼女を見つめながら質問を返した。彼女は「ああそうか。そうだよね」と若干泣きそうな感じにも見えた。そんな彼女を見つめながら僕は一言こう言った。「これは普通じゃない」その声を聞いて驚いたのか彼女はうんと頷いた。そして彼女は再び手を握られて気がつくと普通な気がした。転校がこのじきにくるのは普通なはず。

 

 そう思える。だが僕は何かモヤモヤする感情に嘘がつけなかった。誰かに普通だって言った気がする。

 

「ねぇ考え事。辞めたら考えごとなんて辛いだけよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

おかしいことは超能力を使える10人と出会った話 @kaminetu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ