宇宙人が管理する新しい世界〔BL〕

楠本恵士

この世界の男は工場で生産される〔BL〕

 その世界は、いつの頃からか狂っていた。

 人々が気づかないうちに、世界全体を洗脳電波がおおい尽くし。

 未知の宇宙人に支配されていた。


 数世紀に渡って徐々に女性の数が減り、やがて女性が一人も生まれてこない世界になって男性だけが愛し合う世界になっても、洗脳されている男たちは、疑問を抱かなかった。


 そして、各地に建造される施設の中で、男が生産される新時代が訪れた。


 培養カプセルの中から出された、裸の男がベルトコンベアーに乗せられて施設の中を流れていく。

 人工子宮の中で繋がっていた人工のヘソの緒が引き抜かれ。

 コンベアーを流れていく工程の中で、男の裸体がミスト状のシャワーで洗浄されて。

 生産された男の裸体が、男たちの手で拭き取られていく。


 ベントコンベアーを流れていく裸の、男、男、男。

 作業をしている男たちは、なんの疑問も抱いていない。

 男は生産されるモノだと、幼い頃から教育されていた。


  ◆◆◆◆◆◆


 一日の作業が終わり、男性生産工場から帰宅する者たちの中には、近くの公園に立ち寄って休憩する者もいた。


 私服に着替えて公園にやってきた水樹が、ベンチに座っているアルバイト学生の拓巳に缶コーヒーを手渡して横に座って言った。


「どう、工場のバイト仕事は慣れた?」

「はぁ、なんとか」

「そっか、ムリしないでいいから……がんばれよ」

 缶コーヒーを飲んでいる先輩の水樹に拓巳が質問する。

「オレたち男は工場で生産されて、社会の労働力になるんでしたよね?」

「そうだけれど」

「ずっと前から、こんな世界でしたっけ?」

 缶コーヒーを飲みながら、横目で水樹は拓巳を見て言った。

「余計なコトは考えるな……オレたちは、男を作っていればいいんだ」


 まだ、明るい公園内では男同士の愛し合いがはじまっていた──この公園は男同士が同性で愛し合う場で、性的な行為が堂々と行われていても、誰も文句は言わなかった。


「オレたちもやるか……男同士で愛し合い」

「はいっ、先輩」

 水樹と拓巳は、自然な動きで男同士のキスをする。


「んんっ……んんっ」

 やがて、互いの体を衣服の上から手で愛撫する二人。

「ハァハァ……先輩」

「はぁぁ……拓巳」

 離れたベンチでは、すでに男性カップルの性的な行為が行われていた。


「あッあッあッ」

 拓巳は水樹に愛されながら。

(そうだこれが、正しい世界の姿なんだ……あッあッ)

 そう思いながら、空を巡回して監視している、宇宙人の円盤を眺めた。


  ~おわり~


 短くてすみません(汗)

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宇宙人が管理する新しい世界〔BL〕 楠本恵士 @67853-_-

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