人間にとってお金って何? それに目を輝かせる姿、傍からはどう見える?

 このシニカルなオチ。これぞSFと、皮肉めいた笑いがこみ上げます。

 昔話などによくある話。「神様のような存在から金塊を与えられ、幸せに暮らしましたとさ」という。

 そうした逸話と同じように、猿子猛(ましこ・たける)も享楽的な生活の果てに借金まみれになり、その果てで「金色に輝く人間」から金塊を与えられる。

 それによって借金を返せてハッピーになれるはずが……。

 果たして、「神様のようなもの」はなぜ人間に富を与えてくれるのか。どんな基準で、どんな目的で。

 それは人間のためとか、徳を積んだ報いとか、そういうものとは限らない。「神様に見えるもの」が人間の信じる「善の存在」とは限らない。

 最終的に「人間の信じる富とは何か」について考えさせられるオチでもあります。お金のために目をギラギラさせる人間は、「とある存在」の目にはどう映るか。
 ちょっと、我が身を省みたくなる話でもありました。

その他のおすすめレビュー

黒澤 主計さんの他のおすすめレビュー2,025