不死と災厄を纏い、美しく笑う少年

月夜の尖塔、誰も届かぬ高みにて、
銀の髪が風を裂き、糸が空を舞う。

少年の名はシルバー・ヴィンセント。
誰にも理解されなくていい。
この美しさが、この高さが、自分のすべてだ。

けれど、彼に授けられた星は異端だった。

不死身の肉体と引き換えに、
あらゆる痛みと災厄を引き寄せる呪い。

叫びを浴び、怪我を背負い、
笑いながら地面に叩きつけられても、彼は言う。

「痛いだけなら、生きてる証拠だ」

心の奥にしまった喪失と、
幼馴染の言葉、
紅の王女との出会い、
そして、傷つきながらも人を守りたいというただ一つの願い。

強さではなく、格好よさ”で世界を変える。

理不尽に抗い、痛みを演出に変え、
誰よりも美しく、誰よりも泥まみれに笑う。

銀の少年が編み始めるのは、
決して折れない星の物語。

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