骨董市

小余綾コウ

骨董市

傷みない天使か凹む雑草か　からら、シルバーラトルを訪（とむら）う


血管をえがく義眼と水晶体　わたしの白目はこんなに赤い


医学書の版画の女だけがゆく異世界にない抜け殻のほう


翼なくカスク（casque）ひとつで生きているモモジロサイチョウ頭蓋標本


結ばれぬままがあるのにまぐれ入るヒ素と金（きん）とはどこか似ている


孕れば翠（みどり）はむしばむほど緑　アクア・トファーナ次生まれたら


薄墨のリラを封じたプドリエ（poudrier）をひと夜ひととき紫に抱く


ヴェルメイユ　ロールドゴールド　メイク美人　褒められたから驕っておこう


なにがため晴れ着の胸に枯れ誇る骨から生まれたエーデルワイス


かたぶいた木象嵌の天秤にみのれ、分銅たち　肆（ほしいまま）

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骨董市 小余綾コウ @koyurugi

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