この設定、とにかくワクワクして仕方なくなりました。
国家間の争いに勝敗を決めるため、「代理戦争」という形で「呪い」が利用されるようになった世界。
そこでは呪術の力を持つ「依代」たちが代表として選ばれ、各国で呪術による戦いを行わされることになる。
ルールはとても過酷なもので、「敵国の長や要人の殺害」、「敵の依代の全滅」などの容赦のないもの。
主人公の幸裂は呪術を継承する者として、否応なくその戦いに巻き込まれて行きます。一族の者ですら制御しきれない「厄介な呪い」を背負う幸裂は、その力を使って他国の依代と戦うことになっていきます。
ここから行われるは、「オカルトの異種格闘技戦」であり、更にそれは「団体による戦略」が伴うことにも。
物語を追いかけていくことで、どんどん想像力が掻き立てられて行きます。日本的な呪術を扱う幸裂たちのチーム。
対する敵チームも、その国に伝わる呪術を継承している。黒魔術、ブードゥー、インディアン、中国の仙術など。
世界に伝わる様々な類のオカルトや呪術。それがこれから一同に会し、熾烈を極める戦いをしていくことになっていく。
こんなのもう、面白いに決まっているだろ、とテンションが上がりました。
超常同士がぶつかる感じは、「FATE」や「呪術廻戦」、そして「終末のワルキューレ」などにも通ずる楽しさがある。
そして団体による戦略は「ファイアーエムブレム」とかも連想させられるようなルール性も。
これから先、どんな背景を持ち、どんな呪術を駆使する敵キャラが登場するか。続きが気になって仕方ない作品です。
脳髄にガツンと杭を打ち込む様な、過激な熱量が炸裂する物語です。
ぬるま湯に浸る様な読書に飽き飽きした方に、身悶えする様な世界観を体験できる本作をお勧め致します。
例えば、オーバーサイズのふわっとゆる系ファッションでフロント毛量マシマシなマッシュで決めたイケメンが人気になる時代に、鋲付きの革ジャンを羽織ってソフモヒでいかつい濃ゆい顔で睨みつけ、「コピーロボットばっかりだな、お前らパーマンか!」と叫ぶ気概が満ちている、そんなカッコよさがここにあります。
僕はこう思います。
ある程度の面白さが確約された似たり寄ったりの話は、とても読み易いし安心します。少ない時間の中で軽い満足感をくれるし、単純に楽しいなぁって思えます。だけど、何が出て来るのか、何が起こるのか、まるで予想のつかない物語に手を出すこのドキドキ感、これって読書の醍醐味じゃないかな? って思うんです。
本作は、突拍子もなく、過激でダーク、だけどそれだけじゃない。僕はここに書かれるであろう「人間ドラマ」にすごく期待しています。筆者である深川我無様は、こけおどしな物語を書かれません。僕の見た事のない独自の価値観と切り口で、「不変」な面白さを提示してくれる作者様であると信じています。
お勧め致します。
ブレイクスルーという言葉があります。少年ジャンプで「ドラゴンボール」や「ハンターハンター」や「ワンピース」が代表作である時に、「呪術回線」や「鬼滅の刃」を読んで、次の時代のマンガだってすぐに思えた人、閉塞感のあるラノベでそんな次のブレイクスルーを予感させるカクヨムの小説だと思います。
皆様、宜しくお願い致します( ;∀;)