覚悟のない男

意気地なしの腑抜け男だが、今振り返ればどんな選択肢があっただろうか。


1人目は絶対にOKを出すべきだった。例え遠距離になろうと、心は一緒だと示すべきだった。次点でははっきりと断ることだろうか。シチュエーションが親の転勤に伴う異動だったから、断っておけば新天地にて向こうは新たな出会いを探せただろうし、自分にとってもここまで未練タラタラになることもなかったはずだ。未練の残る理由を事細かに考えれば、答えは「手に入ったかもしれない女性が他の男に汚されたのが不快」という、幼稚極まりないアホくさいものなのだ。であればはっきりとした物言いが当時からできていれば今このように悪化しなかっただろう。


2人目は手を出してない以上これが正解だろう。頼れる先輩としてそのままの関係で終われた。中途半端な覚悟で手を出していればきっと今より悪い結果になっただろう。


3人目は現在進行中なので何とも言えないが、傾向から察するに、本気で攻めるならしっかりストレートにぶち抜くべきだろう。彼氏と引き離したは良いが、自分とも付き合わず一人ぼっちになってしまったなどとなれば、誰にも顔向けをできなくなってしまう。だから本気で向き合うなら、今の彼氏への未練を全て消滅させるよう仕向け、手伝い、(あるかは分からないが)己の魅力をアピールして告白を成功させる。やるからにはこれまで持ったことがない覚悟が必要になるだろう。


振り返れば自分は今まで本気で人と向き合ったことがない。喧嘩も告白も、激しい感情を伴うものとは無縁だった。だから平坦な感情で他人と向き合ってきたし、それを好む人好まない人がいた。しかし今の自分は初めて激しい感情の起伏を感じている。かつてあったチャンスで失敗しようと告白をしていれば、今の踏みとどまりを解消できただろうか。結局選択の失敗を恐れるちっぽけでふざけたプライドが問題なのだ。ここらで一度圧し折り粉砕しておき、より強く育つようあえて苦しい環境を作るのも一手だろう。そうしたら「次の出会い」も期待できるような人間になれるだろうか……。

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恋愛転じて悔恨となす カラビナ @chocola1029

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