作者の過去作、『君と育てる魔法少女〈白銀の章〉~深淵に囚われし少女たち~』を読んだ身からすると、作者にとっての普遍的なテーマの一つはこれかもしれない。子供らしい子供というのは実際はそんなにいないし、他方で子供扱いされて悔しい想いをした経験をお持ちの方も多いだろう。小説が意識に根差すものである以上、子供心に感じるそうした異和が深く影を落とすというのは、少なからずありえることである。
あえて深読みするならば、と釘を打つ必要はあろうが、この観点で読むというのは、興が深いと想う。実は作品の設定上――大人が子供に転生する関係上――ここは消えてしまうのだが。なので、あえてではあるが、深読みの面白さというのも、また、あるのである。
美しく繊細な情景が丁寧に描写され、異国を旅しているかのような感覚になります。作品全体に静謐な空気感が漂っており、それがとても心地よい作品です。気品に満ちた上質な読書体験ができることでしょう。
主人公は冷静で聡明な美少年、アレッサンドロ。彼は元経営コンサルタントだった知識を活かして、災害に苦しむ都市の再生に取り組んでいきます。落ち着いた物腰と深い洞察力や知識が、とても魅力的な主人公です。
アレッサンドロを取り巻く家族も皆それぞれに好感が持てる人物で、彼らとの交流に心があたたまります。
果たしてアレッサンドロは、美しき水の都を、在りし日の姿に戻すことができるのか?
ぜひご自身の目で確かめてみてくださいね。
三十代の経営コンサルタントだった佐藤健一が、異世界へと転生。
佐藤は十歳の少年アレッサンドロ・アクアティカとして、水の都『リヴェリス』の復興に挑むことに――というのが本作のストーリーですが、転生先の世界では魔物がいたり、十年に一度の災害があったりと、なにかとたいへんそうです。
そうしたなかで、元経営コンサルとしての知識を活かしながら、佐藤もといアレッサンドロがいかにして水の都を復興していくのか。このレビューを書いている時点で本作はまだ未完です。ぼくも読んでいる真っ最中なのですが、とにかくつづきが楽しみ。
『経営コンサル、異世界を救う ~水の女神の祝福を受けて~』、おすすめです!