鬼灯と先生

　この物語は明治時代を舞台に、お屋敷に住む父とその子供、屋敷で元々働いている女中、子供の教育係として雇われた女中が登場します。物語の序文は子供が大人になったある日の回想です。
　父は貧しい農家の長男として生まれました。ある日農家は働き手として、女中を雇いました。父はその女中を好きになりましたが、女中は父の弟を好きになりました。女中が欲しい父は弟に成れば良いと考えました。弟を殺し成り代わり、女中を騙し、残った家族も殺しました。
　念願の女中と駆け落ちし、長女と長男の2児を設け、満足いく生活を父は送れませんでした。農家の頃に比べても貧しい。弟のような奴隷もいない。父は失った力を取り戻そうとしました。株で一発逆転を狙いますが女中は反対しました。見切りをつけ、内緒で家を売り、長男だけ連れて他は捨てま…続きを読む