えっちなお姉さんが現われた! 童貞三十歳はどうする!?

国見 紀行

手に入れろ、『その力』を!

「ありがとうございましたー」


 俺は目当てのDVDを手に帰路についた。


「いやー、残ってると思わなかったぜ。『童貞解放! まだヤってない三十路限定100人切り!』」


 ほくほくしながらスマホを見るともう日が変わっていた。


「あ、今日は4月4日か。俺の誕生日じゃん。って、そうか、今日で俺も三十歳だなぁ」

「あらお兄さん、いい匂いじゃない。ワタシとイイコト、しない?」


 路地からするっと現れたのは、いろんな意味でいかがわしさ抜群の美女だった。


「え、いや、俺は今から帰ってDVDを……」

「そんなのいいじゃない。ほら、ここ。もう元気なんじゃない?」

「ちょ、あ、ぉぉ……」


「あぶなーーーーーーい!!」

「ドウテイ・キーーーーック!!」


 まさに美女が俺に触れようとした瞬間、謎の二人が女性を思いっきり蹴り飛ばした。


「は、え、ちょ、はぁ!??」

「無事だったか!」

「危なかったね!」

「あの、おじさんたち、なに?」


 二人はそれぞれ青、黒の全身タイツ状態だ。子供番組の特撮系と言われれば通じるかも知れない。


「俺は、『あふれる老後の不安、ドウテイブルー』!!」

「私は『終わらないヘビーワーク、ドウテイブラック』!」


 すると美女がふっとばされた場所から瓦礫が吹っ飛び、中から『明らかに人間じゃないけどセクシーな格好の美女』が現れた。


「くそ、現れたわね『三十路みそじ戦隊ドウテイジャー』!」

「なんて!?」

「サキュバス帝国のア・バズレー! 今日こそは決着をつけるぞ!」

「この世界の童貞は、俺たちが守る!!」


 いや童貞限定かい。


「ふん、お前たちの弱点など、とうの昔にお見通しだ! くらえ『トップレス・フラッシュ』!!」


 美女はそう言って豊満な胸を晒すとまばゆい光が二人を襲った!


「「ぐあああああああーーーーーー!!!」」

「嘘でしょ、一撃なの??」


 俺は気になって吹っ飛んだ彼らに近づくと、上からも下からも体液がにじみ出ていた。


「くそ、俺たちにもっと力があれば……」


 ピリリリ、ピリリリ!


「はっ、腕のアダルトシーバーが…… こちらドウテイブルー! チェリー博士、どうしたんですか!?」

『その近くに三十路のどえらい〝童貞力〟を感知した! 儂らが探していた戦士が近くにいるぞ!!』


 嫌な予感がする。

 逃げようと足に力を入れると、すかさず俺のDVDをブルーの人が掴んだ。


「君も、童貞かい?」

「ちょ、離してください!」

「頼む! この星の童貞が狙われているんだ! この『ナニコノスキン』を股間に当てて『変態!』って叫んでみてくれ!」

「イヤですよ!! 離してください!! ズボンを引っ張らないで!」


 思わずズボンを掴んでブルーの人ごと引っ張る。なかなか力が強いぞこの人。


「キャーーーー!! ヘンタイ!!」


 しまった、通行人だ!


「違います、俺は『変態』じゃ……」


 あ。


『装着者の地上座標を捕捉! ナニコノスキンの〝童着どうちゃく〟開始します!!』

「説明しよう!『童着』とは、体全体にあらゆる性病を寄せ付けない最強のスーツ〝ナニコノスキン〟を0,002秒でまとうプロセスなのだ!」

「説明いらねぇ!」


 なんて言ってる間に俺の体が真っ赤に染まった。確かにほとんど時間がかかってない。


「キターーーーー! 伝説の『赤い戦士』!」

「『煮えたぎる血液! ドウテイレッド!』参上だ!」


 かといって、俺は一般人で戦い方なんかわからんぞ!


「ふん、今のうちにこれでも食らえ!」


 ア・バズレーは俺に向かって再びあの光を放った!


「うわあああ! ……って、ちょっと熱い程度じゃないか」

「博士! 彼ならあの武器を使いこなせるかもしれません!」

『なにぃ! あいわかった転送する!』


 すると、突然目の前に赤い棒が出現した。


「なにこれ……」

「レッド! それは未来の技術の粋を尽くして作られた武器『ヴァイ・ブレード』だ! それならア・バズレーを倒せるはずだ!」

「ええい、どうにでもなれ!」


 俺はその棒を手にして力を込める。瞬間、体が使い方を知っていたかのように動きだしたのだ!


「うおおおおお! 必達! ソロエ・クスタシー!!」

「んはあああああぁぁぁぁぁーーーーーーーー!!」


 ヴァイ・ブレードがア・バズレーに接触した瞬間、彼女は体中から体液を放出して気絶した。だが、その瞬間黒いモヤが彼女を包み、いなくなってしまった!


「はあ、はあ、……いったい、何が」

「よくやった、ドウテイレッド! さあ、基地に招待するよ! ついでに名前も教えてくれ!」

「ごめん、私はまだ仕事があるから……」


 そう言ってブラックはその場から消えていった。何故俺も連れて行ってくれないんだ!


 助けてくれーー!!

 


『これから先も、頑張れ! 名もなき主人公!』

『戦えドウテイジャー!』

『負けるな、三十路戦隊!』


 FOR EVER!


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えっちなお姉さんが現われた! 童貞三十歳はどうする!? 国見 紀行 @nori_kunimi

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