アシスタントとの快適な生活と、その主従関係。


 スコーンの家には2台のアシスタントがいる。

 1つはAIアシスタントのマヤ様。彼の思考と同期することで阿吽の呼吸を実現する。つれない態度だが仕事は完璧だ。

 もう1つは掃除屋ロボットのセンジュ。あらゆる家事を実際にこなしてくれる。あまりにこなしすぎて手に余るくらいだ。

 2台の機器は主のタスクを次々と片付ける。

 快適な生活が続いたある日、スコーンのもとにとあるメッセージが……



「面白いのに不穏」という独特な読み味が特徴の作品。

 技術の良い面も悪い面も伝えつつ、キャラが立っている(説教臭くない)のが素晴らしい。


 これを読んで、少し前に、将棋のAIに関するWeb記事を読んだ時のことを思い出した。

 ゲームのAIは、選択肢が少なくなる終盤において無類の強さを発揮する。
 急激に応答が速くなったら、それは詰みへの手順が確定した時らしい。
 こうなると、相手がどんな手を打とうがほぼ時間消費もなく最善手を打ち続けるとのことだ。
 
 この作品には、上記における「高速化し始めた状態」に対する不気味さがある。

 正しく感情のない彼らは、対局の後に何をするのか。